1993 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌、胃癌の浸潤、転移における局所線溶活性と生物学的悪性度についての検討
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04670776
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
柴田 純祐 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (50128708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 豊 滋賀医科大学, 医学部, 医員
川口 晃 滋賀医科大学, 医学部, 医員
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Keywords | 食道癌 / 胃癌 / 大腸癌 / リンパ節転移 / u-PA / PAI-1 / PAI-2 / 生物学的悪性度 |
Research Abstract |
平成4年度は大腸癌を中心にurokinase-type plasminogen activator(u-PA),plasminogen activator inhibitor(PAI)-1の発現と局在を免疫組織化学染色(SAB法)で検討したが、今年度はu-PAの発現をmRNAレベルでin situ hybridization(ISH)法を用いて検討すると共に、胃癌(MK)89例のu-PAと大腸癌におけるPAI-2についても検討した。 (1)u-PAは腫瘍細胞質内核近傍に顆粒状に認められ、その分布は腫瘍辺縁部に強陽性であった。連続切片のISHでも同様に陽性なことからu-PAは腫瘍細胞で産生されているものと考えられた。陽性率は食道癌(EK)で15例中1例6.7%(1/15),MK:39.3%(35/89),CK:28.6%(16/56),RK:36.0%(32/89)であった。(2)u-PA陽性(+)群と陰性(-)群でそれらの組織型、壁深達度に有意差はなかった。u-PAの発現は、m癌で8/25(MK)と2/3(CK+RK)、sm癌で6/9(MK)と1/4(CK+RK)で早期よりその発現が認められた。(3)n_1以上のリンパ節転移は、u-PA(+)群ではMK:44.1%(15/34),CK+RK:66.7%(32/48)で、u-PA(-)群のMK:34.0%(16/47),CK+RK:37.1%(36/92)より、CK+RKで有意の差(p<0.01)をもって高かった。更にMKのsm+pm症例とCK+RKのpm症例で、n_1以上がu-PA(+)で各々36.4%(4/11)と66.7%(4/6)、u-PA(-)では9.1%(1/11)と35.7%(5/14)で、u-PA(+)群にリンパ節転移が高かった。(4)5年生存率(Kaplan-Meier法)はu-PA(+)ではMK:58.0%,CK+RK:60.2%で、u-PA(-)のMK:85.1%,CK+RK:80.9%より有意の差(p<0.05)をもって予後が悪かった。(5)PAI-1は腫瘍近傍の線維芽細胞に陽性で、陽性率はCK+RKで24/32(75%)であった。染色性がu-PA>or=PAI-1ではリンパ節転移率は81.5%(13/16)と高く、u-PA<PAI-1では12.5%(1/8)と低かった。(6)PAI-2は腫瘍細胞に局在し、陽性率はCK+RKで33/73(45.2%)であった。n_1以上のリンパ節転移はu-PA(+)PAI-2(-)で88.9%(8/9)、u-PA(-)PAI-2(+)で8.3%(1/12)で、5年生存率も各々53.3%と90.9%と有意の差をもってu-PA(-)PAI-2(+)群は5年生存率が高かった。
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