1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト正常大腸粘膜DNAに結合していることがわかった2種の発癌物質の化学講造の同定
Project/Area Number |
04670783
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
梅本 淳 徳島大学, 医学部, 講師 (60185072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十亀 徳 徳島大学, 医学部, 医員
梶川 愛一郎 徳島大学, 医学部, 助手 (40243688)
門田 康正 徳島大学, 医学部, 教授 (60028628)
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Keywords | ^<32>P-ポストラベル法 / 大腸癌 / 発癌 / 発癌物質 / DNA付加体 / 胆汁酸 |
Research Abstract |
大腸発癌において、食物中に存在する発癌物質や胆汁酸が重要な役割を果たしていると考えられている。そこで、総胆管ドレナージをおこなった胆石症患者から絶食期を経て次第に食事摂量が増加していく過程の胆汁を経日的に集めブルーレーヨンなどを用いて発癌物質の精製を行なった。これと2重鎖DNAを試験管内でインキュベートし、DNA付加体が生成されているかを^<32>P-ポストラベル法を用いて検討したところ、約3種類のDNA付加体が生成されることが解った。これら胆汁中に存在するDNAと結合し得る物質は食事摂取量が増加するにしたがって上昇する傾向が認められた。現在、化学構造分析に足りる充分な量のDNA付加体を得るための方法、例えば、肝臓のミクロゾームに含まれる代謝活性化酵素や各種の脱抱合酵素を使用する方法や、大量の胆汁から目的物質を精製する各種の方法を検討中である。 一方、生体内に存在する4種類の胆汁酸と、その各々の抱合型胆汁酸、計12種類の合成胆汁酸を試験管内で反応され^<32>P-ポストラベル法で解析したところ、内4種類がDNAと結合能を有していることが判明した。従来、胆汁酸は発癌過程でプロモーターとして働くと考えられていたが、今回、胆汁酸がDNAと結合し発癌のイニシエーター(突然変異原)として働く可能性が示されたことは世界で初めてのことである。また、これらの付加体生成においては、反応液中の胆汁酸濃度が0.001mg/mlから1.0mg/mlという10^3倍の広範囲にわたり、直線的な用量相関がみられることがわかった。また4種類の胆汁酸の内のひとつから生成されるDNA付加体は、ヒト大腸や肝臓に存在する発癌物質-DNA付加体の一部と2次元薄層クロマトグラフィー上極めて類似しているため、その異同を現在確認中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 田中 正喜: "ヒト肝臓におけるステロイドホルモン結合DNAの存在" 消化器癌の発生の進展. 4. 379-380 (1992)
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[Publications] K.Kondo: "Mutations in the p53 tumor suppressor gene in primary lumy cancer in Japan" Biochem.Biophys.Res.Commun.183. 1139-1146 (1992)
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[Publications] A.Umemots: "Detemination human exposure to the dietary couainoger 3-amino-1,4-dimethyl-5H-pyrido[4.3-b]indole(Trp-P-1)from hemoylobin adduct:The relationship to DNA adduct" Carcinogemesis. 13. 1025-1030 (1992)