1993 Fiscal Year Annual Research Report
原発性肝癌に対する肝動脈塞〓術・門脈塞〓化学療法の開発とその臨床応用
Project/Area Number |
04670791
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Research Institution | Kumamoto university medical school |
Principal Investigator |
片渕 茂 熊本大学, 医学部, 助手 (50233747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
池井 聰 熊本大学, 医学部, 講師 (90136705)
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Keywords | 肝動脈塞〓術 / 門脈塞〓化学療法 / 原発性肝細胞癌 |
Research Abstract |
【目的】肝動脈塞栓術(TACE)の進歩により原発性肝癌における主腫瘍のコントロールはほぼ可能となった。TACE単独治療群の検討より門脈内腫瘍塞栓や被膜浸潤を有する症例の予後は極めて不良であることが判明した。われわれは、そのような症例の治療成績の向上のために門脈塞栓化学療法(PTPCE)を考案し、その塞栓物質として門脈塞栓効果と徐放化された薬剤による制癌効果を兼ね備えたリピオドール中シスプラチン懸濁液(CSL)-フィブリン糊を開発した。 【基礎的検討】ラット腹水肝癌(AH136B)を経門脈的に投与して片葉担癌モデルを作成した。CSL-フィブリン糊によるPTPCEを施工し、治療効果を無治療担癌ラットと比較検討した。PTPCE施工群において【.encircled1.】生存期間の延長、【.encircled2.】腫瘍増殖阻止効果、および【.encircled3.】経門脈的転移抑制効果、が認められた。 【臨床応用】肝細胞癌12例にTACEとの併用にてPTPCEを行った。 【.encircled1.】PTPCEは重篤な合併症も無く、安全に施工可能であった。【.encircled2.】肝癌治療効果判定基準による奏効率は66.7%と高率であり、【.encircled3.】2年累積生存率は80.0%と長期予後も極めて良好であった。【.encircled4.】切除標本において担癌門脈枝内にCSL-フィブリン糊が残存しており、主腫瘍および門脈内腫瘍塞栓の壊死が認められた。 【結語】CSL-フィブリン糊によるPTPCEは、TACE単独では効果が不十分である門脈内腫瘍塞栓や被膜浸潤を有する切除不能肝細胞癌の予後を著明に改善した。PTPCEは切除不能肝細胞癌に対する新しい集学的治療のひとつとして、極めて有効な治療法であることが本研究により確認された。
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[Publications] Satoshi Ikei: "Changes in Interleukin 6,Interleukin 8,C-reactive protein and Panceatic Secretory Trypsin Inhibitor after Transcatheter Arterial Chemoembolization" CYTOKINE. 4. 581-584 (1992)
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[Publications] Toru Beppu: "A new chemoembolization therapy for unresectable hepatocellular carcinoma using Aclarubium microspheres in combination with cispktin suspended in lipiodol" Reg.Cancer Treat.1-2. 33-35 (1992)