1994 Fiscal Year Annual Research Report
腹腔内マクロファージで被覆した小口径人工血管の術后抗凝固能及び開存性に関する検討
Project/Area Number |
04670817
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鷲尾 正彦 山形大学, 医学部, 教授 (20018310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 寛政 山形大学, 医学部, 医員
深沢 学 山形大学, 医学部, 助手 (90218876)
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Keywords | 小口径人工血管 / 腹腔内マクロファージ / 血管移植 |
Research Abstract |
1.腹腔内埋め込み日数と開存性との関連についての検討 雑種成犬(15-18kg)を用い、preclotting(Sauvageの方法に準じた)した小口径人工血管(Golaski社製、径3.5mmニットダクロン)を腹腔内に埋め込み、2日、4日、1週後腹腔内より取り出し、ヘパリン1000U/20mlPBS内に浸水し、同犬の頚動脈に端々吻合で移植した。術後5週で犠牲死させ、開存性を肉眼的に観察した。人工血管の開存率は、腹腔内埋め込み2日のものが1/3、4日のものが3/4、1週間のものが1/4であった。腹腔内埋め込み日数は、4日が良好と考えられた。その理由として、埋め込み日数が少ない(2日)と、移植時人工血管壁から出血し、止血操作中に血栓が内腔に付着するためで、埋め込み日数が長い(1週間)と、グラフト内面に結合織成分の付着が多く、血栓形成を促進するためと考えられた。 2.コントロールグラフトとの開存性及び、内腔面の走査電顕での比較検討 コントロール(以下C群)として、腹腔内に埋め込みをしていないものを、preclotting、ヘパリン浸水(上記の方法)し、犬頚動脈に移植した。腹腔内埋め込み後4日のもの(以下T群)を、上記1.の如く対側頚動脈に移植し、術後1週、5-10週で犠牲死させ、開存性及び内腔面の走査電顕での性状をC群と比較した。人工血管の開存率は、術後1週ではC群2/2、T群2/2で、術後5-10週ではC群2/4、T群3/4であった。開存したグラフトの走査電顕での比較では、術後1週において、C、T群とも、内面に血球成分が付着したダクロン繊維が露出し、術後5-10週においては、T群に内皮細胞による被覆が多くみられる傾向にあった。ヘパリン浸水により、移植後急性期の閉塞はコントロールにおいても減少するが、腹腔内埋め込みによりグラフト内腔面の早期内皮化が促進すると考えられた。
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