1992 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波凝固の不整脈外科への応用に関する実験的研究
Project/Area Number |
04670819
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡辺 弘 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (10240516)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 正明 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
|
Keywords | マイクロ波 / 不整脈外科 / 全層性アブレーション |
Research Abstract |
平成4年度はマイクロ波凝固を心臓に対して適応した場合の急性期の安全性を中心に検討を行った。実験には体重9〜12kgの雑種成犬を用いた。電極の形状は直径0.7mm、長さ1cmの針電極とし、マイクロ波の波長は2450MHzで、出力は30W、50W、通電時間は10〜60秒に設定し、常温拍動下に右室および左室の自由壁に対してアブレーションを行った。マイクロ波凝固時の心電図変化をモニターし、マイクロ波のエネルギーと凝固変性領域の関係を組織学的に検討したアブレーション後に電気生理学的検査を行い、凝固部位が不整脈の新たな起源になるか否かにつき検討した。 長さ1cmの針電極は刺入により右室壁では貫通し、左室壁では貫通に近い状態であった。マイクロ波凝固中心室性期外収縮の多発が認められたが、血行動態は安定していた。マイクロ波凝固により心臓破裂等の重症な合併症は生じなかった。凝固変性領域は境界明瞭で右室および左室自由壁の全層性の変性凝固が容易に可能であった。凝固変性領域の横径はマイクロ波のエネルギーが大きい程大きく、凝固時間が延長する程大きくなった。凝固後急性期に行った電気生理学的検査ではプログラム刺激による心室頻拍等の致死的不整脈の誘発は認められなかった。実験終了後の心臓標本では中心部は凝固壊死、正常心筋との境界部はcontraction band necrosisを呈し、正常心筋とは境界が明瞭であった。心内膜面に血栓形成は認められなかった。 以上より、マイクロ波凝固は常温拍動下の心筋に対して安全に全層性の凝固を行うことが可能であると判明した。平成5年度は慢性実験を行い、組織学的変化と電気生理学的検査による催不整脈性の点から慢性期の安全性を検討し、マイクロ波凝固のアブレーション手段としての確立をめざす予定である。
|