1992 Fiscal Year Annual Research Report
内胸動脈,胃大網動脈グラフトの流量特性および薬剤反応性に関する研究
Project/Area Number |
04670820
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中沢 聡 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (90237248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸 久永 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 冠状動脈バイパス術 / 動脈グラフト / 内胸動脈 / 胃大網動脈 / 薬剤負荷 |
Research Abstract |
大動脈ー冠状動脈バイパス手術のグラフト材料として,内胸動脈や胃大網動脈が使用されている。これらの動脈グラフトは,動脈硬化に対する抵抗性が高く,遠隔期でも高い開存率が報告されている。しかし,その血液供給能や薬物反応性,また運動時の血流量変化などの特性に関しては殆ど研究されていない。これらの点を明らかにするために,平成4年度においては,イヌを用いた動物実験で主に胃大網動脈グラフトの流量特性,および薬剤負荷に対する反応を検討した。 実験方法として,雑種成犬の右胃大網動脈を剥離し,末梢端を開放して分時血流量を求め,同時に上行大動脈血流量,腹腔動脈血流量を測定した。薬剤負荷としてノルエピネフリンを0.2μg/kg1分から1.0μg/kg1分まで漸増負荷し各血流量の変動を測定した。さらにクロールプロマジン,ワゴスチグミン,ガストリンを先行投写し,ノルエピネフリンを同様に追加投与した3群について検討し以下の結果を得た。 1. ノルエピネフリン負荷により,濃度依存性に胃大網動脈流量の増加,腹腔動脈分枝間での血流再分配の存在が推測された。 2. 各種薬剤負荷により,胃大網動脈血流量は増加したが,ノルエピネフリン追加投与にても明らかな減少は認めなかった。 3. ガストリン投与により胃大網動脈流量が増加することから,臨床例では食後に移植グラフトの血流量が増加すると推測された。 4. 胃大網動脈グラフトは胃を灌流する血管と同様に,ホルモン,神経の影響を強く受けるグラフトであることが示唆された。
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