1993 Fiscal Year Annual Research Report
内胸動脈,胃大網動脈グラフトの流量特性および薬剤反応性に関する研究
Project/Area Number |
04670820
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中沢 聡 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (90237248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸 久永 新潟大学, 医学部・第二外科, 助手 (00251801)
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Keywords | 内胸動脈 / 薬剤反応特性 / free flow / in situ状態 / ドパミン負荷 / ノルエピネフリン負荷 |
Research Abstract |
本年度は、内胸動脈グラフトの特性、及び体外循環実験を中心に行った。1.内胸動脈グラフト特性では、10〜15kgの成犬6頭を用い、胸骨正中切開にて左側内胸動脈(ITA)を剥離した。測定は、ITAの末梢を切離しない状態(in situ)時、次に末梢側を切離した状態(free flow)時に行い、ドパミン(DOP)及びノルエピネフリン(Norepi)負荷下のITA血流量を検討した。その結果、in site状態時、DOP 5γ負荷で、心拍出量に対するITA血流量比(ITAF/AoF)は、前値15.1±9.3%から10.6±6.8%へ、また10γ負荷で4.42±2.91%へと有意(p<0.05)に減少した。しかし、DOP負荷を中止すると、14.4±3.59%へと、ほぼ前値に回復した。また、Norepi0.5γ負荷で、ITAF/AoFは前値14.3±6.01%から7.88±6.56%へ、1.0γ負荷で5.04±3.78%と有意(p<0.05)に減少し、負荷を止めると12.9±5.61%へと回復した。一方、free flow状態時には、前値22.5±7.00%が、Norepi負荷にても、ほぼ不変であった。この実験から、成犬のITAの内径は約3〜4mmと比較的太く、血流量も心拍出量の約20〜25%と豊富であった。このような血管でのfree flow測定では、血管収縮作用のある薬剤を投与しても、血管径の変化が出現しにくいためか、血流量は不変であったものと考えられた。一方、in situ状態では、ITA末梢側の血管収縮に伴う血管抵抗増加のためか、薬剤負荷の影響が明らかに出現したものと推測された。以上のことから、冠血行再建に使用した際には、ITA本来の末梢血管特性は変化し、冠血管抵抗、心筋酸素需要に大きく依存している可能性が示唆された。2.体外循環下実験では、GEA及びITAを剥離して、実際に成犬の前下行枝へ吻合した。その結果、GEA及びITAグラフト長の種・個体差のため、さらに、手技的な困難さ、体外循環および術後管理の問題から、グラフト血流量の十分な測定には至らなかった。
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