1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670830
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
山城 敏行 高知医科大学, 医学部, 講師 (10145138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野並 芳樹 高知医科大学, 医学部, 助手 (20164717)
入交 昭彦 高知医科大学, 医学部, 教授 (30025605)
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Keywords | 肺水腫 / 誘電解析 / 誘電分散 / Loss Tangent |
Research Abstract |
日常臨床で遭遇することの多い肺水腫の早期発見、重症度の定量的評価、長期連続的モニター法などの要請をすべて満足する方法は、現在のところないのが実状である。本研究の目的は細胞誘電解析法の基礎の上に、正常肺と水腫肺の誘電スペクトルの差の解析による、肺水腫の重症度の無侵襲的かつ定量的な評価法の確立である。 肺組織の誘電挙動を肺の含気率との関係から詳細に検討した報告はみられない。ラット摘出肺葉のインピーダンス測定用の表面電極を開発し、以下の実験を行った。Wistar系ラットを用い、オレイン酸および乳酸化リンゲル液の静注により種々の程度の肺水腫を作成した。肺を摘出し、左主気管支を確保して左肺葉容量を可変とし、肺の含気率を段階的に変えてインピーダンスアナライザーで、10KHzら100MHzの周波数において肺の誘電率εおよび導電率κを測定した。肺の誘電挙動は、周波数が高くなるにつれεは減少、κは増大し誘電分散が明瞭であった。含気率を増大させるとε、κともに低下した。肺水腫群では低周波域でのεの上昇、高周波域でのκの上昇が顕著であった。しかしながらε、κは肺の含気率に依存するためそのままでは肺水腫の定量化の指標として使えない。そこで各周波数においてエネルギー損失を表すLoss Tangent(LT)値をε、κから求めた。肺水腫が高度であるほど10MHzにおいて、コントロール肺に比しLT値の上昇が明瞭であり、かつLT値は肺の含気率による差が僅かであった。10MHzにおける各含気率でのLT値の平均をx,体重当りの肺内水分量をyとして検討すると、yはxの増加につれ指数関数的に増加した。yをlog scaleに変換するとy=-0.5031+0.5067xの回帰式となり、R=0.97、P<0.01でパラメーターは有意であり、x、yは極めて良い相関を示した。すなわち肺葉表面に電極をあてる操作で肺内水分量を、肺容量を考慮せずに推定することが可能であることが見いだされた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山城 敏行: "誘電分散法による肺水腫評価法の基礎的検討" 日本胸部外科学会雑誌. 39. 1546 (1991)
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[Publications] Yamashiro,T.: "Dielectric behavior of excised rat lung lobes in the 10^2-10^8 Hz range as correlated with pulmonary edema" Jpn.J.Physiol.41. 98 (1991)
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[Publications] 山城 敏行: "誘電スペクトル法による肺水腫の検出" 日本胸部疾患学会雑誌. 30(増). 248 (1992)
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[Publications] Yamashiro,T.: "Transpleural measurement of the passive electrical properties of the rat lung:Comparison of techniques employing two different probes." Jpn.J.Physiol.42. 72 (1992)