1994 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症に対する脾臓摘出術の効果-実験的自己免疫性重症筋無力症(EAMG)ラットにおける検討-
Project/Area Number |
04670835
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
正岡 昭 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (10028326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 薫 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00264721)
山川 洋右 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (40148284)
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Keywords | 実験的自己免疫性重症筋無力症 / 脾臓摘出術 / 胸腺摘出術 |
Research Abstract |
実験的自己免疫性重症筋無力症(EAMG)ラットに対する脾臓摘出の効果の評価項目を増やして(前年度までの項目は、血清中およびリンパ球培養上清中の抗AchR抗体価,リンパ球幼若化試験)検討し、以下の結果を得た。 実験は6週齢雌ルイスラットを用いてEAMGを発症させ、これらに対し、シャム手術(SHAM)、脾臓摘出(SX)、脾臓および胸腺摘出(SX+TX)、胸腺摘出(TX)を行い、下記の項目で比較検討した。 1)体重増加:SHAM群に対しSX群およびSX+TX′は術後2週、4週共に有意の高値を認めた。TX群も高値をとる傾向はあったが有意ではなかった。体重増加は餌の経口摂取量を反映しており、脾臓摘出はEAMGによ低下する経口摂取を改善すると考えられた。 2)走力:SHAM群に対しSX群およびSX+TX群は有意に速く、またTX群も速い傾向を示したが有意ではなかった。走力は筋力低下の回復そのものを反映しており、MG治療法としての脾臓摘出術の意義を示すものと思われた。 3)末梢血中リンパ球サブセット:SHAM群に対しSX群およびSX+TX群では、CD4(+)CD8(+)細胞高値、CD4(+)CD8(-)細胞低値、CD4(-)CD8(+)細胞高値、CD4(-)CD8(-)細胞高値、CD4/CD8比低値、CD5(+)細胞低値、CD5(+)B細胞低値、CD5(+)B細胞/B細胞比低値という結果を有意に認めた。またTX群でも同様の経口を認めたが、有意差は一部にのみ認められた。この結果から、脾臓摘出術はEAMGにより変化したリンパ球サブセットを補正し、自己免疫機序を抑制する方向に働いたことが示唆された。胸腺摘出術では補正の傾向はあるものの有意差はなかった。この原因としては、EAMGにおいては胸腺を介さずに発症する機転が考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 富野晴彦: "重症筋無力症に対する胸腺摘出術ならびに脾臓摘出術の効果" 名古屋市立大学医学会雑誌. 45. 81-98 (1994)
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[Publications] 正岡昭他9名: "免疫性神経疾患に関する研究 平成5年度研究報告書" 厚生省特定疾患免疫性神経疾患調査研究班, 169-172,(341) (1994)