1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670839
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
許 俊鋭 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (30153232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
見目 恭一 埼玉医科大学, 医学部, 主任
尾本 良三 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80112647)
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Keywords | 補助循環 / 経皮的循環補助法 / 心房中隔穿刺 / 左心バイパス / 経食道心エコー法 / 心腔内エコー法 / 心原性ショック |
Research Abstract |
本研究の初年度にメディキット社と経皮的左心バイパス(PLAAB)システムを共同開発し、今年度はその臨床応用と有効な臨床使用法に関する研究を行った。 当該年度の研究成果として以下の2点が挙げられる。 (1)PLAAB補助の心原性ショック症例への臨床応用 心停止を含む重症心原性ショック症例8例にPLAAB補助を試み、リウマチ性弁膜症により高度の左房壁石灰化を合併した症例1例を除き他の7例で22時間〜105時間のPLAAB補助を行った。上記症例は心房中隔も高度石灰化していてBrockenbrough針による穿刺が不可能であったが、他の7例では極めて迅速かつ容易に左房脱血管の挿入が可能であった。心停止例2例に対してはPCPS補助によりまず心蘇生し、その後PLAAB補助に移行する方法が有効で、1例で離脱救命せしめた。7例中3例(42%)がPLAAB補助より離脱可能であり、1例(14%)が心原性ショック状態を離脱し、カテコラミン補助からも離脱し生存した。しかし、本法は全身ヘパリン化を必要とし、遠心ポンプを使用するため一週間以上の長期補助は困難で、72時間以内に左心機能が回復兆候が見られない症例は速やかに補助人工心臓を用いたLVAS補助に移行すべきと考えられた。 (2)心腔内エコー(ICE)をガイドとした新しい心房中隔穿刺による左房脱血管挿入法の開発 本PLAABシステム開発当初は、左房脱血管挿入に必要な心房中隔穿刺は経食道心エコー(TEE)法をガイドとして用いたが、TEE法は覚醒下の患者にとっては不快感が強く、技術的にも熟練を要したため更に容易な心房中隔穿刺ガイド法としてICE法を導入した。同様の手枝を必要とする井上バルーンを用いた経皮的僧帽弁交連裂開術(PTMC)症例10例、PLAAB症例3例にICE法をガイドとして用い、内7例はICE法単独ガイドにより左房カニュレーションを行い安全性に全く問題はなかった。しかし、ICEガイド法は下大静脈から右房へ穿刺針を進める際に穿刺針全体の走行を観察することが出来ないため、X線透視が併用できない場合はTEE法を併用すること望ましいと考えられた。穿刺針が右房内に挿入された後はICE法による穿刺針先端の観察は明瞭で、心房中隔穿刺のガイドとしては臨床上極めて有用と考えられた。
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[Publications] 許,俊鋭: "心臓移植適応と考えられた虚血性心筋症に対する補助循環の試み" Coronary. 10. 151-156 (1993)
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[Publications] 許,俊鋭: "開心術後重症心不全症例と心原性ショックを伴った非手術症例に対する補助循環治療" 人工臓器. 22. 286-291 (1993)
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[Publications] 許,俊鋭: "心不全の補助循環による治療とその適応" Practitioners. 2. 127-132 (1993)
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[Publications] 許,俊鋭: "経皮的左心バイパス補助循環" 医学のあゆみ. 167. 879-882 (1993)
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[Publications] 許,俊鋭: "機械的補助循環法" medicina. 30. 1058-1059 (1993)
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[Publications] 許,俊鋭: "経食道心エコーガイド下心房中隔穿刺による経皮経心房中隔的左房脱血管挿入法の検討" 人工臓器. 21. 347-352 (1992)
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[Publications] 許,俊鋭(分担): "人工臓器-補助人工心臓治療の現状と将来" 中山書店, 6 (1993)