1992 Fiscal Year Annual Research Report
髄膜腫における細胞接着関連分子の発現と細胞骨格の分布様式に関する細胞生物学的研究
Project/Area Number |
04670848
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 正 群馬大学, 医学部, 助手 (20189062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坐間 朗 群馬大学, 医学部, 助手 (50231353)
井上 洋 群馬大学, 医学部, 講師 (30125827)
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Keywords | 髄膜腫 / クモ膜細胞 / 細胞接着分子 / 細胞骨格 / 細胞分化 / 細胞増殖 / 老化 / 細胞運動 |
Research Abstract |
クモ膜細胞由来とされる髄膜腫の細胞生物学的研究及び治療研究を進めるため、クモ膜細胞の分化形質を発現しうるPermanent Cell Lineを樹立すべく、ヒト転移性髄膜腫細胞のクローニングを行なってきた。Parent Lineは25継代まで3次元的Whorlを形成し、電顕的に中間径フィラメントが付着する典型的なDesmosome、マイクロフィラメントが付着するAdherens Junction、Gap Junction、Tight Junctionを認めた。これらの所見はParent LineにIn Vivoの髄膜腫細胞や正常クモ膜細胞の形態的分化形質を保持しているCell Populationが存在していることを示している。このCell Lineから1つのクローンの分離にコロニー形成法を3〜4回繰り返し、30以上のクローンを得た。しかしそれらの多くは10数継代以内に老化又は老化傾向を示した。その中で細胞集団倍化数が50〜100以上に達し、In Vitroの環境にadaptし得たと思われる3種類のクローン(仮称:G1、C1、F)につき、通常の培養条件下(10%FCS-MEM)で主として光顕及び電顕観察、増殖パターンの検索を行なってきた。現在までの所見は次の如くである。 G1細胞はLag Phaseが長く、Flat Epithelioid Cellの形態を示すが、細胞密度の上昇に伴い分岐する長い突起を有する細胞が増加する。電顕でよく見られる所見はDesmosome、Adherens Junction、Gap Junction、Annulate Lamellaeである。細胞膜のRufflingは見られず、運動能はないか極めて低いと思われる。倍化時間は40時間前後、コロニー形成率は培養開始後1〜3ケ月で60%以上である。増殖速度は遅いが生存率は高い。C1細胞は細胞膜のRufflingが特徴的である。高細胞密度で紡錘形となり基質から離れ易く、遠隔部位にコロニーを形成する。高い運動能を有するクローンと思われる。 F細胞は球形でcompactな小細胞塊を形成するが、増殖しつつ以下のような形態の異なるCell Typeを生じる。Small carrot-shaped cell、flat epithelioid〜spindle cell、elongated bipolar cell、multipolar cell。平成4年度はクローニングに予想以上の時間を要したため、予定していた免疫蛍光法による細胞接着関連分子や細胞骨格蛋白の検索は平成5年度において進めていきたい。
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