1993 Fiscal Year Annual Research Report
髄膜腫における細胞接着関連分子の発現と細胞骨格の分布様式に関する細胞生物学的研究
Project/Area Number |
04670848
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 正 群馬大学, 医学部, 助手 (20189062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坐間 朗 群馬大学, 医学部, 助手 (50231353)
井上 洋 群馬大学, 医学部, 講師 (30125827)
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Keywords | クモ膜細胞 / 髄膜腫 / 分化 / 増殖 / 細胞接着 / デスモソーム / アドヘレンス ジャンクション / 細胞骨格 |
Research Abstract |
髄膜腫は良性腫瘍であるが、全摘後10〜30%の症例に再発がみられ、生物学的に再発、浸潤しやすい非定型又は悪性髄膜腫が存在する。我々は髄膜腫の増殖機構を検索するため、転移性髄膜腫からクモ膜細胞や髄膜腫細胞の特徴であるvimentin filamentが付着するdesmosome形成能を有する細胞をクローニングした。Parent Lineは、通常の髄膜腫に良く見られるwhorlを21継代まで形成した。電顕的にwhorlでは、desmosome、adherens junction、gap junction、発達したintermediate filament、細胞膜のinterdigitationが見られ、in vivoの髄膜腫の超微構造に酷似していた。このcell lineからコロニー形成法を繰り返し、30以上のクローンを得たが,多くは数継代後に老化した。その中で細胞集団倍化数が100を越え、不死化したと思われるクローン、HMG-10について免疫蛍光染色、電顕観察を行ない、増殖能を検索した。HMG-10細胞は、増殖期では基質に良く伸展付着し、epithelioid cell(E)sheetを形成した。増殖飽和期では基質への伸展付着が不良となり、細長いfibroblastoid cell(F)が増加した。免疫蛍光染色では、desmoplakinが細胞境界部に点状に存在する領域が散在性に認められた。細胞質内のdesmoplakin dotは、internalized desmosomeと思われた。vimentin filamentは核周囲部にnetworkを形成していた。actin陽性線維は細胞周辺部に多く、stress fiberは増殖飽和期で増加した。cytokeratin、EMA、Ecadherinは陰性であった。電顕ではdesmosome形成と細胞質内の発達したintermediate filamentが見られ、髄膜腫細胞の特徴を備えていた。desmosomeの形成はE-E間、E-F間、F-F間で認められた。10%牛胎児血清を含む培地での増殖曲線では、対数増殖期は初回培地交換後2日目に見られ、培化時間は約47時間であった。飽和密度は2.0×10^4/cm^2で、低細胞密度で接触阻止現象が認められた。HMG-10細胞は、髄膜腫の増殖進展機構を解析する上で有用なin vitro modelになりうると思われ、今後髄膜腫の細胞接着因子の発現と増殖能との関連を更に詳しく調べていきたい。
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