1993 Fiscal Year Annual Research Report
アルゴンレーザーを用いた悪性脳腫瘍に対する光化学療法の研究
Project/Area Number |
04670851
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大野 喜久郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50014238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 公義 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010166)
青柳 傑 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40134704)
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Keywords | Argon laser / Malignant brain tumor / Photoradiation / Rat C6 glioma model |
Research Abstract |
今年度は、培養細胞を用いた実験的基礎研究と臨床例における治療を行なった。後者では、臨床例に新しく入手可能となった光感受性物質を投与して光化学療法を施行し、その結果を得た。著効と考えられる所見を示した臨床例があり、現在詳細な検討を行なっているところであるが、注目すべき症例であると考え、主にこの症例についてその概要を述べる。56歳神経膠芽腫症例で、ほぼ全摘出した後、光化学療法を行ない、術後放射線照射60Gyを行なった。術後2週間のMRIで摘出腔周囲壁が約8mmの厚さで造影剤により増強されるのが認められた。その後、周囲に脳浮腫が発生進展してきたため腫瘍の再発を疑い、増強される部を摘出した。病理組織学的検索にて、腫瘍細胞は認められず壊死組織と診断された。この増強効果は術後2週間目から認められていることから放射線壊死によるものとは考えられず、光化学療法の結果と考えられた。術後経過は順調であった。この症例で今までと異なる点は、(1)新しい、強力な光感受性物質Photofrin II(LB3055-8d,Lederle)を使用したこと、(2)レーザー光の出力を高くしたこと、(3)腫瘍を肉眼的にほぼ全摘除したことなどであった。従来、効果の深達度は約5mm程度とされているが、この症例では約10mm程度であったと考えられる。過去2年間文部省科学研究費補助を受けて実験においておよび臨床において研究をつづけてきたが、この新しい光感受性物質にはきわめて高い根治の可能性が追及できると思われるので、今後これを用いて同様の方法で光化学療法を施行した症例数を増加させ、その有効性を確認することが必要と考えられる。
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