1992 Fiscal Year Annual Research Report
クモ膜下出血後の脳槽脳脊髄液における脳血管攣縮惹起物質について
Project/Area Number |
04670856
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山田 弘 岐阜大学, 医学部, 教授 (40021365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 利彦 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (40180278)
西村 康明 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (60198512)
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Keywords | Subarachnoid hemorrhage / Uascular smooth muscle cell / Cerebrospinal fluid / Phospholipase C / Intracellular calcium / Platelet derived growth foctor / Vasoactive substaoce / Oxyhemoglobin |
Research Abstract |
くも膜下出血(以下SAH)患者脳脊髄液中における、脳血管攣縮の原因物質に関する研究から以下の知見を得た。 (1)SAH患者脳脊髄液中には、脳組織由来と考えられるイノシトールリン脂質特異的ホスホリパーゼC(以下PLC)が存在し、そのアイソザイムはPLCβ、γ、δである。脳脊髄液中のPLC活性はSAH発症早期に高く、病日の経過とともに漸次減少する。SAH発症後早期のPLC活性は、SAHの臨床的重症度と相関する。 (2)SAH後の脳脊髄液を、ラット胸大動脈より単離培養した血管平滑筋細胞(以下VSMC)に作用させると、一過性の細胞内カルシウムイオンの上昇がみられ、これはSAH後の脳脊髄液中に存在する何らかの物質がアゴニストとして作用し、VSMC細胞膜におけるPLCを活性化したことによると考えられるが、この物質がいかなる物質か明かではなく、この物質の分離精製をVSMC細胞内カルシウムイオンを指標として試みたところ、分子量8万程度の蛋白質が考えられた。しかしこの物質は未だ部分精製の段階であり、アミノ酸配列を決定するには至っていない。 (3)SAH患者脳脊髄液中における血小板由来成長因子(PDGF)の測定をおこなったところ、SAH発症早期に高く以降漸次減少した。SAH発症早期の脳脊髄液中PDGF値は、SAH重傷度と相関した。 一方これまで脳血管攣縮の原因物質として考えられてきた、オキシヘモグロビン、セロトニン、プロスタグランデインF_2αなどのブタ脳底動脈由来VSMCに対する収縮反応について検討し、同時にブタ脳底動脈由来VSMCの細胞骨格蛋白、収縮蛋白に対する作用についても検討をおこなっている。
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Research Products
(1 results)