1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670859
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若林 俊彦 名古屋大学, 医学部, 助手 (50220835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 純 名古屋大学, 医学部, 講師 (40158449)
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Keywords | GFAP / 遺伝子導入 / 脳腫瘍 |
Research Abstract |
Glial fibrillary acidic protein(GFAP)は、他の中間系フィラメントと共に神経細胞の分化度や腫瘍化及びその悪性度との関連性についても注目されてきているが、未だその生理的機能や腫瘍の悪性度との関連機構については殆ど解明されてきていない。我々はヒトGFAPの全翻訳領域をコードしているcDNAを組み込んだ発現ベクターであるpBabe neo:GFAPをリポソームに包理し、各種グリオーマ細胞に遺伝子導入してGFAP発現を細胞内に誘導し、それによる細胞動態の変化と腫瘍悪性度との関連性を解析した。まず第一に、GFAP非発現細胞株のDAOY-1 medulloblastoma cell lineに遺伝子導入した結果、導入後3日目に原形質内にGFAPの発現がwestern blottingにより確認され、更に経時的にその産生量が増加する傾向を呈した。更にneomycinにて遺伝子導入された細胞を選別するとその細胞からの溶出蛋白量に対する陽性率は上昇し、選別過程で遺伝子導入株が予定どうり選択出来ていることが確認された。第二に、2種類のhuman glioma cell line(U-251-MG,KMS-II)にリポソーム法にてpBabe neo:GFAPを遺伝子導入し、経時的に生細胞数を測定しGFAPの発現に伴う細胞増殖に及ぼす影響を計測した。その結果、4日目までは有為な増殖率の差は認められなかったが、6日目になると遺伝子導入された細胞に有為な増殖抑制効果が観察された。なお、リポソームそのものによる増殖抑制は観察されなかった。以上の結果、リポソーム法によりGFAPcDNAの遺伝子導入されたグリオーマ細胞株はGFAPを発現し、それにより細胞増殖に抑制がかかる可能性が示唆された。
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