1993 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍に対する養子免疫療法と抗腫瘍ヒトモノクローナル抗体併用の効果
Project/Area Number |
04670866
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Research Institution | SAGA MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
阿部 雅光 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (20136427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 俊一 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (30253610)
田渕 和雄 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50116480)
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Keywords | glioma / MHC / immunotherapy / monoclonal antibody / cytokine |
Research Abstract |
我々はこれまで悪性脳腫瘍患者5例に対し患者末梢血単核球をOK-432で刺激して誘導したOK-432activated killer(OK-AK)cellの腫瘍内局所投与を行い、4例に有効性を確認していた。その後更に2例に同様の治療を行い、1例に著効を認めた。ヒト単核球をOK-432で刺激するとINFalpha、INFgamma、TNFalphaおよびTGIF(Tumor Growth Inhibitory Factor)等の種々のサイトカインを産生することが分かっている。そこで治療前後で採取し凍結保存していた腫瘍腔内の液を用いて、これらのサイトカインの定量を行ったところ、特にTGIFが有効症例の治療後採取液で増加していることが確認された。今後腫瘍内局所投与による治療を行っていく際、TGIFの経時的測定を行っていくことは、治療を継続していくべきかどうかを決定する上での一つの指標となると考えられた。抗腫瘍ヒトモノクローナル抗体(CLN-IgG,ACA-11)の悪性脳腫瘍患者への静脈内投与は3例において行われ、うち2例は6ヵ月間投与を継続した。明らかな臨床上の副作用はなく、1例に有効性つまり腫瘍の縮小(PR)を認めた。CLN-IgGの脳腫瘍内局所投与は2例に行ったが明らかな有効例は見られなかった。培養脳腫瘍細胞(U373MG)を用いてOK-AK単独投与とCLN-IgG併用とを比較したところ、併用による増強効果が認められたので、悪性脳腫瘍患者に対しこの併用療法、つまりCLN-IgGの腫瘍内局所投与を行った後、OK-AKの局所投与を行った。この有効性については観察期間が短いため未だ評価できていないが、TGIF等の測定を行いながら今後も継続していく予定である。
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[Publications] 田渕和雄: "脳腫瘍の分子生物学的特性" 脳神経外科. 21. 677-696 (1993)
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[Publications] 白石哲也: "抗Fas抗体による培養グリオーマ細胞のapoptosis誘導" 神経化学. 32. 100-102 (1993)
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[Publications] Sato, T.: "Frontal lobe tumor associated with late-onset seizure and psychosis." Psychiat.Neurol.47. 541-544 (1993)