1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670886
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中土 幸男 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (80115360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 彰夫 信州大学, 工学部・情報工学科, 教授 (00115362)
土金 彰 信州大学, 医学部, 助手 (60252102)
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Keywords | 長管骨 / 力学的特性 / インパルス衝撃応答法 / 骨折治癒 / モーダル解析 |
Research Abstract |
1.関節および軟部組織のヒト脛骨共振周波数への影響 ホルマリン処理された3屍体標本の5下肢を大腿中央部で切断して、脛骨内果をインパルスハンマーで加振し、上端内顆で応答を加速度センサーで検出し、周波数応答関数から脛骨の共振振動数を算出した。測定条件を(1)すべての軟部組織を温存、(2)皮膚を除去、(3)筋肉を除去、(4)足部を除去(足関節離断)、(5)大腿骨を除去(膝関節離断)、(6)腓骨を除去の状態で共振周波数を測定した。その結果、ヒト脛骨の共振周波数は質量に大きく依存して変化する、特に筋肉除去時および足部除去時に著しく増加した。減衰比は軟部組織、足部、大腿骨を除去していくに従って減少し、関節や軟部組織が脛骨の振動を吸収していることがわかった。同時に行ったモーダル解析では、膝および足関節あるいは腓骨の有無にかかわらず、脛骨は両端自由な基本モードで振動していることが確認された。このことは、臨床において生体脛骨に応用されているインパルス衝撃応答法の結果は、脛骨自身の変化を観察していることを意味している。 2.インパルス衝撃応答法の脛骨骨折例への応用 インパルス衝撃応答法を用いた骨折治癒診断の臨床応用を56例の脛骨骨折の治癒過程について経時的に検査を行い以下の結論を得た。(1)骨折を固定する種々の材料は測定の障害にはならなかった。(2)骨癒合の初期に共振周波数の急激な上昇がみられた。すなわち本法は骨癒合の初期において最も鋭敏な検査であり、レントゲン像で骨折部に橋渡し仮骨が現れる前に周波数の上昇が始まる。(3)骨折の経過観察中の共振周波数の下降は治癒上危険な徴候の発現を示し、一方上昇は順調な治癒過程を示した。(4)骨折が治癒しても健常脛骨の共振周波数を超えたものは、4例に過ぎなかった。
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[Publications] 古渡千桂,中土幸男,野村彰夫他4名: "インパルス衝撃法による長管骨骨折の治癒評価および健康人脛骨の力学的特性の生体内測定" 電子情報通信学会誌(信学技報). 92-51. 1-7 (1992)
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[Publications] 野村彰夫,村田和歌子他6名: "生体骨の音響診断における軟部組織の影響" 平成5年度電子情報通信学会信越支部大会. 389-390 (1993)
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[Publications] 小林昭一,野村彰夫他5名: "モーダル解析による生体骨の特性の評価" 平成5年度電子情報通信学会信越支部大会. 391-392 (1993)
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[Publications] 土金彰,中土幸男,野村彰夫: "インパルス衝撃法による正常人脛骨の力学的特性の加齢的変化" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 14. 173-176 (1992)
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[Publications] 土金彰,中土幸男他2名: "関節および軟部組織のヒト脛骨固有振動数への影響" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 15 (印刷中). (1993)
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[Publications] 中土幸男: "長管骨の力学的特性に関する評価法の最近の進歩" 信州医学雑誌. 42(印刷中). (1994)