1993 Fiscal Year Annual Research Report
慢性神経牽引刺激により生ずる神経易損性とシビレ・痛みに関する研究
Project/Area Number |
04670895
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山鹿 真紀夫 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (90145318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手 淳二 熊本大学, 医学部, 助手 (10253725)
森澤 佳三 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (50174412)
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Keywords | 腕神経叢 / 牽引 / 神経束内血流 / 神経上膜下血流 |
Research Abstract |
引き抜き損傷の生じない程度の弱い上肢の牽引が加わる際の痛みやシビレが出現する病因を腕神経叢の滑走、血流、組織、神経成長因子(NGF)、軸索流の点で検討中である。腕神経叢では他の上肢の神経よりも大きく滑走した。又、水素クリアランスを用いた定量的血流の結果では、早期の軽微な牽引刺激により腕神経叢の微小循環系であるExtrinsic systemに急激な低下が生じ、Extrinsic systemとIntrinsic systemの血流にアンバランスが出現した。一方、正中神経ではExtrinsic systemとIntrinsic systemの血流にアンバランスは見られなかった。これらは腕神経叢におけるExtrinsic systemとIntrinsic systemの現象は、神経が一律に牽引されないことによって伸びの少ない部分よりIntrinsic systemへの血流保持のための補給がなされたと考えられ、微小循環のExtrinsic systemとIntrinsic systemの間で血流維持の為の相互の作用が働いたものと考えられた。又、血流の大きく減少した腕神経叢のExtrinsic systemの周囲組織では慢性刺激において軽度の肉芽組織の炎症が認められ、これが癒着として作用し神経のスムースな滑走を阻害することが考えられた。これらより腕神経叢では牽引刺激に対して腕神経叢の微小循環の点でExtrinsic systemは弱く破綻を来たしやすく、この破綻が痛みやシビレ症状の出現要因となることが示唆された。 NGFや軸索流は現段階ではパイロットの段階であるが、牽引刺激では機械的圧迫とは異なる所見がある。
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