1992 Fiscal Year Annual Research Report
化学処理神経片を用いた末梢神経同種移植に関する実験的研究
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04670901
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
玉井 和夫 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80227256)
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Keywords | 末梢神経 / 同種移植 / ラミニン / 基底膜 |
Research Abstract |
1)アルコール段階処理神経の組織学的検索:1991年に平澤らの報告したアルコールを用いた移植神経片段階的方法に準じてラット坐骨神経に対して処理を行い、その横断面を光顕および電顕による組織学的検索と抗ラミニン抗体を用いた免疫組織化学による検索を施行し、抗原性の抑制の可能性と神経再生の足場となる可能性について評価した。処理神経の神経周膜はその形態および連続性を保ち、神経束内では細胞成分は処理を受け変性し、軸索内部も同様に変性処理され空洞化しており、抗原性の低下が予測された。また髄鞘はシュワン細胞の基底膜を含む膜状構造物が処理されずにほぼ連続性を保って残されており、神経再生にとってよい環境を残しているものと思われた。またラミニンによる免疫組織化学では組織学的に観察された残された膜状組織に一致してほぼ均一な染色性を認め、基底膜に存在するラミニンが処理後も良好に残されていた。 2)家兎を用いた処理神経移植実験:家兎坐骨神経に対して同処理を施した処理神経移植を行い、移植後3カ月で灌流固定後に移植片を摘出し、その横断面を光顕および電顕で観察評価した。移植神経内に再生神経が多数伸長してきているが、神経束全体の軽度萎縮を認め、周膜外に再生軸索のherniationが認められ、処理がやや強すぎる可能性が示された。再生軸索の髄鞘形成および内部の形態は良好であった。また再生軸索はシュワン細胞の基底膜に沿って伸長している像がみられた。
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