1992 Fiscal Year Annual Research Report
家兎を用いた重複圧迫による末梢神経損傷の実験的研究
Project/Area Number |
04670904
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
西田 淳 岩手医科大学, 医学部, 助手 (20198469)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 克巳 岩手医科大学, 医学部, 助手 (80236520)
|
Keywords | 重複性絞扼性神経症 / 動物モデル / 軸索流 / 形態学 / 電気生理学 |
Research Abstract |
1.重複絞扼モデルの作製:神経剥離術を行なった例では、剥離術後10週以後に屠殺した3例で運動神経伝導速度の軽度の低下を認めたが、3〜6週後に屠殺した2例には著変を認めなかった。近位(坐骨神経)および遠位(脛骨神経)を神経径にほぼ一致する内径2.5mmあるいは2.2mm(近位)、1.5mm、(遠位)のシリコンチューブで圧迫を加えた例のうち運動神経伝導速度を計測した6例中4例で伝導速度の軽度の低下を認めた。非圧迫部との速度差は近位圧迫部で平均25.4m/s、遠位圧迫部で平均24.1m/sであった。 2.光顕および電顕による形態学的観察:1例のみ観察を行なったが、遠位圧迫部に脱髄所見を認めた。近位には異常を認めなかった。 3.放射性同位元素による軸索流の検索:圧迫を加えなかった1例、圧迫例1例の速い軸索流の測定を行なった。非圧迫例では21cm/日、重複圧迫例では18cm/日、単独圧迫例では19cm/日であった。 考察:現在までの結果より、近位を2.5mmあるいは2.2mm、遠位を1.5mmのシリコンチューブで圧迫することにより、軽度の絞扼神経障害をきたすことが可能であると考えられた。臨床的に問題となるのは運動神経の障害が著明でなく、主として知覚障害が主体となっている例と考えられる。我々の動物モデルはそれに非常に近似していると考えられ、更に電顕による検索、放射性同位元素による検索を重ねて病態を明らかにしていきたい。
|