1993 Fiscal Year Annual Research Report
家兎を用いた重複圧迫による末梢神経損傷の実験的研究
Project/Area Number |
04670904
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Research Institution | Department of Orthopaedic Surgery, School of Medicine, Iwate Medical University |
Principal Investigator |
西田 淳 岩手医科大学, 医学部, 助手 (20198469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 正隆 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70048271)
古町 克郎 岩手医科大学, 医学部, 講師 (90244920)
田島 克巳 岩手医科大学, 医学部, 助手 (80236520)
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Keywords | 重複性絞扼性神経障害 / 軸索流 / 動物モデル / 家兎 / ^3H-ロイシン / 坐骨神経 / 運動神経伝導速度 |
Research Abstract |
方法 1.軸索流の速度:家兎の脊髄神経節より1.5cm遠位の坐骨神経に、^3H-ロイシン(L-[4.5-3H(N)]-,DuPont社製)10muCiを注入して脊髄神経節に浸潤性に到達させた後、3時間後、4時間後、6時間後に屠殺し、坐骨神経を摘出後、神経を5mm毎に細切した。各切片にトリクロル酢酸を加えてホモジナイズし、軸索内小胞に取り込まれていない^3H-ロイシンを除去した。遠心して上清を除去した後、沈渣に組織溶解剤Soluene350(Packard社製)を1cc加えて溶解し、液体シンチレーションカウンター(LSC 1000,Aloka社製)で軸索内の^3H-ロイシンを測定し、測定値(disintegulation per minute)の常用対数をグラフ化した。 2.絞扼状態の評価:作製してあった絞扼モデルで1と同様の方法で^3H-ロイシンを用いて、軸索内の^3H-ロイシンを測定し、測定値の常用対数をグラフ化して絞扼状態を評価した。 結果 1.軸索流の速度:3時間後に屠殺した家兎では脊髄神経節より5.5cm遠位まで^3H-ロイシンが検出された。4時間後、6時間後に屠殺した家兎では各々6.5cm、9.0cmまで検出された。これは速度にすると各々44cm/日、39cm/日、36cm/日である。 2.絞扼状態の評価:測定値は脊髄神経節から遠位に至るに従い低下したが、重複性、単独性いずれの絞扼モデルでも絞扼部位の直前0.5cmあるいは1.0cmの範囲で軽度に高値を呈し、軽度の神経絞扼の発生が示された。測定値は単独性絞扼モデルでは絞扼部位の近位で上昇する以外はなだらかに減少した。重複性絞扼モデルでは絞扼部位間で比較的高値を保っていたのに比し、遠位の絞扼部より遠位では明らかに低値を呈した。 考察および結語 1.軸索流を途絶することなく軽度に軸索流が障害される、臨床像に近似した絞扼モデルが作製された。 2.重複性絞扼により軸索流の障害は増強すると考えられた。
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