1992 Fiscal Year Annual Research Report
完全全脳虚血に対する多重療法の有効性と脳内伝達物質に関する研究
Project/Area Number |
04670915
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩月 尚文 東北大学, 医学部, 助教授 (50004908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
最首 俊夫 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (30201502)
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Keywords | 完全全脳虚血 / 脳蘇生法 / 多重療法 / Nicardipinc / 高圧酸素療法 / 低体温法 / 脳内グルタミン酸 / 脳内アルパラギン酸 |
Research Abstract |
完全全脳虚血後の脳障害に対する治療法として、この脳障害発現機序の夛様性から考え、種々の療法を組合せた夛重療法が有効でないかと仮定し、実験を行なった。先ずCa^<++>拮抗薬Nicardipineと高圧酸素療法(HBO)の併用療法を試みた。大動脈遮断法による15分間完全全脳虚血犬において、虚血解除後Nicardipine 10μg/kg Golus静注、0.33μg/kg/min3日間投与とHBO(g気圧・1時間)を虚血解除後3,24,29時間目に合せ行なった。治療群では、脳神経機能回復スコア(NRS:100=正常,0=脳死)が14日目(観察最終日)で81と非治療群の43より良く(P<0.01),ほゞ正常の回復と考えられるNRS85以上の頭〓が5/9と非治療群の0/10より夛かった(P<0.01)。さらにこの結果は、先に我々が行なったNicar-dipine単独、HBO単独の成績と比較しても有効であり、この併用療法の有効性が示唆された。 脳虚血治療法の有効性と脳内伝達物質の推移との関連を調べるために、先ず有効な治療法とされている軽度低体温法(34℃)の脳内グルタミン酸(GL)とアスパラギン酸(AS)への影響を、同じ15分完全全脳虚血モデル犬で検討した。GLとASはMicrodyalisis法にて採取、高速液クロで測定した。GL・AS共に非低体温群では、虚血負荷により著しく増加、解除直後に最高となり、30分後には元に復した(GL:0.97→1.75→0.84,AS:1.04→4.54→0.94μg/ml)。一方、虚血負荷前に軽度低温化した群では、GL・ASの虚血による増加が認められず、あらかじめ低温化しておくことがたとえ軽度であっても、GL・ASの増加抑制に有効であることが示された。しかし、虚血負荷後に低温化した群では、GL・ASの増加は抑えられなかった。同時に測定した脳波と誘発脳波の回復程度が、虚血前低温群で最も良くGA・ASの濃度変化と治療効果との関連性が示唆された。引き続き併用療法との関連を検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] N.IWATSUKI,K,ONO 他: "Further Acceleration of Neurologic Recovery after Complete Global Cerebral Ischemia by Combined Therapy with Hyperbaric Oxygenation and Nicardipine-infusion" Critical Care Medicine.