1992 Fiscal Year Annual Research Report
肺気管支神経上皮複合体(パラニューロン)の低酸素刺激応答に関する研究
Project/Area Number |
04670919
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 一範 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (70126415)
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Keywords | 肺気管支神経上皮複合体 / パラニューロン / 5-HT / 低酸素性肺血管収縮 |
Research Abstract |
低酸素性肺血管収縮における気管支神経上皮複合体(パラニューロン)の役割を解明するため,平成4年度の研究では,ラットの摘出肺気管支標本を低酸素刺激し,その時に放出されるmediator(活性アミン,5-HT等)を液体クロマトグラフィーにて分析した.まず,低酸素刺激による気管支神経上皮複合体の反応として分泌され得る活性物質を検索するため,ラットの摘出肺気管支に含まれる活性アミン含量を液体クロマトグラフィーによって測定した.細胞を破砕し,その抽出液の分析の結果,肺における,多量の5-HTの存在が証明された.しかしながら,摘出しかしながら,次に行った摘出肺気管支に対する低酸素クレブス液灌流実験では,低酸素刺激による5-HT放出は現在のところ証明されていない.液体クロマトグラフィーで確認できたものは,5-HTの代謝産物の5-HIAAとdopamineであったが,これらは低酸素刺激によって放出量は変わらなかった.このことから,5-HTは,細胞内含量が高いにもかかわらず,低酸素刺激による放出されないかもしくは放出量が極めて微量であり,速やかに代謝され.本法では測定できないためと推測され,分析精度の向上に努めている. 低酸素刺激に対する食管支神経上皮複合体の反応は,細胞内顆粒の放出を電子顕微鏡的にとらえた報告があり,その顆粒に5-HTが含有されていることは証明されている.しかし,5-HTが低酸素性肺血管収縮のmediatorであることの直接的証明はなされていない.気管支神経上皮複合体には,5-HT以外にもCGRP,GRP等のペプチドが証明されており,それらが低酸素性肺血管収縮に関与している可能性もある.平成4年度の実験においては,mediatorを5-HTとのみ仮定し実験を遂行したが,これらのペプチドの関与についても以後の研究の課題となると考える.したがって,平成5年度以降の実験では,気管支神経上皮複合体の低酸素刺激時にCGRPおよびGRPが放出されるか否かを,蛍光抗体法を用いた手法で検索することが必要である.
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