1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670926
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 輝夫 岡山大学, 医学部, 助手 (00033225)
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Keywords | DOPH膜 / ハロタン / エンフルラン / イソフルラン / セボフルラン / 自励発振 / カオス解析 / フラクタル解析 |
Research Abstract |
脂質類似物質(Dioleyl phosphate:DOPH)をミリポア膜に吸着させた人工脂質2分子膜は、生体系における神経膜を局所的に模擬した人工神経細胞膜として研究されてきた。しかし、揮発性吸入麻酔薬について、DOPH膜に対する効果を検討した報告はない。 本研究は、DOPH膜の揮発性吸入麻酔薬への応答性を調らべる目的で飯山らの方法を用いて、現在、臨床使用されているhalothane,enflurane,is of lurane,sevofluraneについて、それぞれの添加量と膜の自励発振に及ぼす影響についてカオスおよびフラクタル解析を行って検討した。 「カオス=小数自由度系の乱雑さの確認」を行うために、ローレンツプロットを行った結果、4種類の揮発性吸入麻酔薬の投与により、それぞれ、1次元写像を得ることが出き、アトラクターを有することが明らかとなり4種の麻酔薬は、DOPH膜に対してカオス系の変化をもたらすものと考えられた。しかし、ローレンツプロットの結果では、それぞれの麻酔薬に特長的な性質は、判明できなかった。 そこで、それぞれの麻酔薬を投与した時の自励発振間隔の累積分布を片対数プロットすることによりリフラクタル次元を求めた結果、halothaneは1.00,enfluraneは0.33,isofluraneは0.23,sevofluraneは0.78であった。この時のそれぞれの麻酔薬の濃度は、halothaneは110mg/dl,enfluraneは24mg/dl,isofluraneは50mg/dl,sevofluraneは3mg/dlであった。さらに、それぞれの麻酔薬は、濃度を増加させると自励発振は消失した。 以上、4種類の揮発性吸入麻酔薬のDOPH膜への影響について、それぞれの濃度と自励発振の間隔との間でのカオスおよびフラクタル解析を行った結果、揮発性吸入麻酔薬は、DOPH膜の流動性または水との相互作用等により何らかの秩序性をもたらすものと考えられた。
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