1993 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠に伴う内因性鎮痛機序の解明および慢性疼痛疾患患者の疼痛管理への応用
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04670935
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
岩崎 寛 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70223386)
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Keywords | 妊娠 / 内因性鎮痛 / 内臓痛 |
Research Abstract |
妊娠末期にはエンドルフィンなどの内因性鎮痛物質の関与が示唆されている。この妊娠末期における疼痛域値上昇の有無を体性痛のみならず臨床的にも、また分娩時に重要な位置にある内臓痛についても存在することをラットを用いてまず確認した。体性侵害刺激には輻射熱刺激装置を用いてのtail-flick test、内臓性侵害刺激には疼痛アナライザーメータを用いてのcolorectal distensionによった。次に、妊娠に伴う内因性鎮痛を増幅させる最も適切な薬剤および投与経路の検討目的に非妊娠ラットにて以下の実験を行なった。 (1)各種鎮痛薬全身投与時の体性および内臓性侵害刺激に対する鎮痛効果の比較検討 麻薬性鎮痛薬(モルヒネ)および麻薬拮抗性鎮痛薬(ブプレノルフイン、ペンタゾシン)の抗体性および抗内臓性侵害作用に差を認めずほぼ同様な鎮痛効果を示した。一方、非ステロイド性消炎鎮痛薬(アスピリン、フルルビプロフエン)は、内臓性侵害刺激と体性侵害刺激に対する鎮痛効果に解離を認め前者に対して強い抗侵害作用を示すことが判明したした。 (2)麻薬性鎮痛薬モルヒネのくも膜下投与に対する各種カルシウム拮抗薬の相乗効果 モルヒネくも膜下投与に対する鎮痛作用はカルシウム拮抗薬(ベラパミル、ヂルチアゼム、ニカルジピン)の同時くも膜下投与により相乗的な抗体性侵害作用を示すことが判明した。 (3)脊髄下行性抑性系に影響を及ぼす可能性が示されている薬剤のくも膜下投与の効果 くも膜下投与のケタミンは有意な抗体性侵害作用を示さず、ケタミンには脊髄レベルでの鎮痛効果は無いことが判明した。 以上の結果より、妊娠末期における内因性鎮痛と各種鎮痛薬およびカルシウム拮抗薬の相互作用を体性および内臓性侵害刺激に分けて検討継続中であり、相乗効果の存在の可能性が極めて高いことが推測され現在実験継続中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Omote K.: "Potentiation of antinociceptive effects of morphine by calcium-channel blockers at the spinal card" Anesthesiology. 79. 746-752 (1993)
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[Publications] Ohmori H: "Differential effects of morphine,bupurenorpline,and non-stercidal antinflammatory drugs to somatic and viscual stimuli in rats" Anesthesiology. 79. A704 (1993)
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[Publications] 大森英哉: "各種鎮痛薬の体性痛および内臓痛に対する鎮痛効果の比較検討" 麻酔. 42. S226 (1993)
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[Publications] 其田一: "ケタミン鎮痛作用発現における脊髄下行性抑制系の関与" 麻酔. 41. S840 (1992)
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[Publications] 大森英哉: "各種鎮痛薬の体性痛および内臓痛に対する鎮痛効果 その1、モルヒネと非ステロイド性消炎鎮痛薬の比較検討" 麻酔. (in press). (1994)
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[Publications] 岩崎 寛: "各種鎮痛薬の体性痛および内臓痛に対する鎮痛効果 その2、モルヒネ、ブブレノルフィンおよびペータゾシンの比較検討" 麻酔. (in press). (1994)