1992 Fiscal Year Annual Research Report
胸部交感神経節ブロックの循環動態に及ぼす影響-麻酔下雑種成犬における研究
Project/Area Number |
04670939
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山上 裕章 奈良県立医科大学, 医学部・麻酔科, 助手 (90166596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 孝雄 奈良県立医科大学, 医学部・麻酔科, 教授 (80075126)
橋爪 圭司 奈良県立医科大学, 医学部・麻酔科, 助手 (10237919)
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Research Abstract |
麻酔下雑種成犬を胸骨右縁〜傍脊椎部(第5助骨高位)までを切開開胸し、T_<7.8>交感神経ブロックおよびT_<2.3>交感神経ブロックを行ない、該当皮膚の温度低下を確認した後、循環動態の変動をみた。(結果)ブロック直後から1分以内に皮膚温度の変化が認められた。ブロック側の皮膚温度の上昇(P<0.01)、および反対側の皮膚温の低下(P<0.05)が認められた。温度変化の差は0.3〜2.1℃であった。右T_<2.3>ブロック群のみ心拍数・血圧の低下(P<0.01)および心拍出量の減少(P<0.05)が認められた。(考察)今回の実験では交感神経ブロックによる血流改善を皮膚表面温度の変化としてとらえたが、ブロック側の血流改善には反対側の血流低下または血管収縮による代償作用の関与が示唆された。また犬の星状神経節は人と異なりC_7-T_3の脊髄神経や迷走神経と交通しており、神経破壊薬の注入では星伏神経節ブロックと変わらなくなるため、凝固巣の小さい高周波熱凝固法を用いT_<2.3>椎体高位の交感神経幹を破壊した。この実験はあくまで胸交Bの与える影響をみるもので、星伏神経節ブロックの影響を調ベているものではない。右T_<2.3>胸交Bにより心拍数、血圧、心拍出量の減少が認められたが左T_<2.3>胸交Bでは有意の循環動態の変化は得られず、諸家の報告と同様右側交感神経の心臓支配(心拍数・収縮力)が優位であることが確認された。中胸椎以下の胸交Bでは循環動態への影響は著明ではないが、心臓枝を含む上胸椎の交感神経節ブロックでは循環動態の変動に注意する必要がある。
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