1992 Fiscal Year Annual Research Report
血管透過性亢進時のリンパによる血管外液回収動態に関する研究
Project/Area Number |
04670944
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
侘美 好昭 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50065538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 康裕 愛知医科大学, 医学部, 助手 (00166828)
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Keywords | 輸液 / リンパ / 膠質輸液 / 循環血液量 / 血管外水分量 / 血管透過性 |
Research Abstract |
平成4年度においては、まず対照研究として血管透過性に異常のない正常犬において大量輸液(30ml/kg/hr)の際の心伯出量(CO:ml/kg),血管外液の変化量(ΔEVW:ml/kg/hr)、循環血液量(CBV:ml/kg)、リンパ対血漿総蛋白質濃度比(Cl/Cp)、左リンパ本管よりのリンパの回収量(Q1:ml/kg/hr)の変化を申請した方法を用いて観察した。 方法:雑種成犬12頭をケタミン麻酔下に気管内挿管し、筋弛緩薬(ベクロニウム)投与下に不動化し、人工呼吸を開始した。循環動態測定用の各種カテーテルの留置及び右リンパ本管膨大部の結紮、左リンパ本管へのカニューレ挿入後、60分間乳酸加リンゲル液(RL)5ml/kg/hrを投与して安定させた。ここで犬を各6頭2群に分け、R群ではRL30ml/kg/hr、RD群では6%デキストラン70液10ml/kg/hrとRL20ml/kg/hrを輸液ポンプにより持続静注して180分間にわたって上記の諸量の変化を観察した。 結果および考案:大量輸液開始後3時間にて、CBVとCOはR群で88.1±19.1、94±30に対しRD群では114.0±2.6、155±60であった。また、同時点におけるQ1、C1/CpおよびΔEVWはR群では7.2±1.5、0.75±0.26、45.7±18.4に対しRD群では11.9±3.6、1.31±0.21、29.0±7.7であった。晶質輸液群のR群に比し膠質液を投与したRD群ではCBVとCOは有意に多いにも拘らず、EVWの増加は少なく、かつQlも高値で、膠質の投与によってリンパによる組織間質液の回収と血管外から血管内への水分の移動が促進されることが示唆された。RD群のCl/Cpの増加は組織間質液が直接血管内へ吸収された結果と思われるが、血管内から間質への水分の移動を促進する因子ともなりうるものであり、これがRD群のQlの高値の原因と推測された。 研究の進行状況:現在ヒスタミンを静脈内に一定の速度で投与した場合の晶質液及び膠質液大量輸液での同様の変化を観察中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 岩田 健: "胸管リンパ流量の増加が肺血管外水分量に与える影響についての実驗的研究" 愛知医科大学医学会雑誌. 20. 305-316 (1992)
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[Publications] 藤井 敦夫: "リンパ流を介した投与水分の回収動態に関する実驗的研究" 愛知医科大学医学会雑誌. 20. 291-304 (1992)
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[Publications] 藤井 敦夫.岩田 健.侘美 好昭,吉川 和宏: "Fluorescein isothiocyanate標識赤血球を用いた循環血液量測定法の檢討" 麻酔. 42. 545-551 (1993)