1992 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌継代株へのIL-6産生遺伝子の封入による,生体内での腫瘍形成能の変化
Project/Area Number |
04670961
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀬口 利信 大阪大学, 医学部, 助手 (60196970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 潔 大阪大学, 医学部, 助手 (40220545)
中野 悦次 大阪大学, 医学部, 講師 (90116070)
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Keywords | 膀胱癌 / ル-6 / トランスフェクション |
Research Abstract |
まず、ヒト膀胱癌症例の臨床的検討により、尿中あるいは血中IL-6が異常に高い症例が多数存在すること、そして尿中・血中IL-6ともに、病期(stage)が進行するにつれて、有意に高くなることを確認した。また6株の確立された膀胱癌継代株の検討から、6株全てがIL-6依存性の細胞増殖を示し、うち3株が極めて高いIL-6産生能を有することを確認した。すなわち、膀胱癌においてIL-6が重要な増殖因子の1つであり、一部においてはautocrine増殖因子である可能性が示唆された。そこで6株のヒト膀胱癌細胞株のうち、比較的低いIL-6産生能を有する639V株を選び、これにIL-6産生遺伝子をtransfect L、元株より高いIL-6産生能を有する細胞株を複数個、選択した。In vitroでは、高IL-6産生能を賦与された細胞株が、いずれも元株より速い増殖を示した。In viroにおいても(ヌードマウスに10^7→10^3個の細胞を移植)、元株が10^5個のレベルから生着・増殖を示したのに対し、subclone(元株の20〜50倍のIL-6産生能を有する株を使用)では、10^4個のレベルでも生着・増殖を示した。 以上から、IL-6産生能の亢進が一部の膀胱癌においては、生体内での腫瘍増殖に寄与することが示唆された。 なお、T細胞系へのIL-6の影響が、ヌードマウスを用いた今回のin viro実験系では、当然不十分であり、今後この点での検討がなお必要とされる。
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