1993 Fiscal Year Annual Research Report
新鮮全尿を用いた蓚酸カルシウム結晶形成モデルの開発と尿路結石形成因子の検討
Project/Area Number |
04670967
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西尾 俊治 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (20136328)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 英信 愛媛大学, 医学部, 助教授 (40108379)
|
Keywords | 尿路結石症 / 予防薬 / クエン酸製剤 / 全尿系continuous flowシステム / シュウ酸カルシウム結晶 |
Research Abstract |
尿路結石の再発予防薬として従来からクエン酸製剤が注目されてきたが、実際の尿においてどの程度予防効果があるのかは不明である。そこで我々が考案した全尿系蓚酸カルシウム結晶形成モデルを用いた実験を用いてどの程度クエン酸が抑制効果を有しているのか、またどのような条件が結晶形成抑制に対してより効果があるのかを検討した。[方法]新鮮尿を尿浸透圧500mOsm/Kgに調整後、各尿のpHは濃塩酸または1規定塩化ナトリウム溶液を用いて変化させた。また、結晶形成をおこなうクリスタライザーではカルシウム濃度8mM、シュウ酸濃度0.8mMにてシュウ酸カルシウム結晶を作成し、結晶の数、結晶核形成率、結晶成長率、総結晶量を求めた。 [結果]1.尿の条件として尿pHを5.5から7.0まで0.25ずつ変化させてその条件下での蓚酸カルシウムの結晶形成の違いを検討した。その結果、尿pHが5.5から6.25までは結晶形成において特に変化を認めなかったが、尿pHが6.5では有意に結晶形成が抑制されていた。2.各尿pHにクエン酸を1mMから10mMの濃度で加え、クエン酸製剤を内服した際にどのような条件が最も有効であるのかを検討した。クエン酸を2mM/L以上尿に加えることにより結晶形成の有意な抑制を認め、10mM/Lでは結晶はほとんど形成されないぐらい抑制効果を有していた。 以上よりクエン酸製剤を内服した際、その尿のpHが6.5に近い値またはクエン酸排泄量が2mM/L以上になっている時にはじめてクエン酸製剤の尿路結石にたいする強い予防効果を期待できることが判明した。
|