1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670986
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
奥山 和彦 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (40214085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 征一郎 北海道大学, 医学部, 教授 (60001898)
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Keywords | 子宮内膜癌 / 微小核融合 / 癌抑制遺伝子 / 細胞エイジング |
Research Abstract |
平成5年度に引続き、ヒト子宮内膜癌細胞株(HHUA)に対する微小核融合法を用いたヒト単一染色体移入実験を繰り返し、また、他のヒト子宮内膜癌細胞株(Ishikawa)に対する染色体移入実験も併行した。大腸癌癌抑制遺伝子であることが近年判明した、DCC癌抑制遺伝子が座位するヒト18番染色体の移入実験によって、興味深い知見が得られた。すなわち、ヒト1、6、9、11、18、19番各染色体移入実験によって、1番染色体移入クローンの76%が初期経代培養過程で老死化することを再確認したのみならず、18番染色体移入クローンの32%が老死化することを新たに発見した。老死化に伴い、細胞形態の著しい変化(細胞の多核化、扁平化および細胞質の巨大化)が観察された。老死化から逸脱したクローンの造腫瘍性をヌードマウスで検討した結果、HHUAでは、1、6、9、18番染色体の移入によって、造腫瘍性の完全な抑制が認められた。一方、Ishikawaでは、1、6、9番染色体の移入によって、造腫瘍性の完全な抑制が認められ、18番染色体の移入によって、腫瘍の生着率の低下および腫瘍径の縮小が観察された。HHUA、Ishikawaに対するplasmid DCC probeを用いたSouthern blottingの結果、HHUAでは、DCC遺伝子内のdeletionが、また、Ishikawaでは、insertional mutationが同定された。RT-PCR法を用いて、DCC遺伝子発現を検討した結果では、HHUA18番染色体移入クローン、および造腫瘍性の完全な抑制が認められたIshikawa18番染色体移入クローンで、DCC遺伝子発現の増加を確認した。 以上のことから、ヒト子宮内膜細胞の癌化過程において、単一ではない複数の老死化に関わる遺伝子(1および18番染色体上に座位)の変異が関与する可能性が初めて示唆された。
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