1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト精漿中20KD IgG-Fcレセプターの純化およびその生殖免疫学的研究
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04671005
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Research Institution | The University of Tokushima, School of Medicine |
Principal Investigator |
鎌田 正晴 徳島大学, 医学部, 講師 (60145018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二木 史郎 徳島大学, 薬学部, 助手 (50199402)
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Keywords | 精漿 / Fcレセプター / IgG / 抗精子抗体 / 免疫抑制 / イムノグロブリン結合因子 / 前立腺 / 外分泌腺 |
Research Abstract |
本年度は、平成4年度に作成した単クローン性抗体を用いて、これも平成4年度に報告したRIA系の、約80倍-800倍(100-10pg/ml)の感度を持つELISA法を開発して各種検体につき定量的検討を行った。その結果、男性患者だけでなく、不妊症患者を含む各種女性患者血清中にもIgBFが検出されることが明らかとなった。またRIAによる検討で、精漿中のIgBF濃度は162.8±15.6mg/mlと極めて高濃度であることが分かっているが、今回の検討により頚管粘液(4376.3±4007.4ng/ml)や気管洗浄液(1113.1±153.3ng/ml)にも高濃度のIgBFが認められた。 さらに、IgBFの構造と機能の関係につき検討した。SDS-PAGEおよびWB法により、IgBFは、非還元下では27kDのホモダイマーで、還元カルボキシメチル化により20kDモノマーとなるが、これらにはIgGとの結合能も、FcγRIIIに対する単クローン性抗体(Leu11b)との反応性も無いことが分かった。反応性は、free SH基を持つ16kDモノマーにのみ認められ、生体では、還元作用あるいは免疫担当細胞によるプロセッシングを受けることによりモノマー型の活性型IgBFに変換すると考えられた。実際、ホモダイマー型IgBFを、0.2mgおよび0.5mgと、少量の抗原で免疫した得た家兎抗血清では、ダイマー型IgBFに対する抗体価が0および1:2000であったのに対し、モノマー型IgBFには、1:5000および1:10^5とモノマー型に対する抗体の優位な産生が認められた。 以上より、IgBFは、外界と接する外分泌腺から分泌されると考えられ、女性内性器における精子に対する抗体産生の抑制など、局所免疫機構への関与が示唆された。また生体では、不活性型から活性型に変化する機能発現調節機序の存在が考えられる。さらにELISAを用いた定量的検討は、前立腺腫瘍のマーカーとして有用なだけでなく、子宮頚部の病変や呼吸器疾患の補助診断や新たな病態の発見に有用であることが期待できる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] N.Maeda: "Immunoglobulin binding factor in human seminal plasma immunological function." Arch.Androl.31. 31-38 (1993)
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[Publications] Z G.Liang: "Binding of a specific subclass of immunoglobulin by a human seminal plasma component." Andrologia. 25. 279-282 (1993)
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[Publications] K.Mori: "Bloching of human fertilization by carbohydrate." Human Reprod.8. 1729-1732 (1993)
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[Publications] N.Maeda: "Immunoglobulin binding factor:a new tumor marker for prostatic tumors." Proceeding of 7th Annual Meeting of Jpn.Society for Reprod.Immunol.117-120 (1993)
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[Publications] M.Maegawa: "Immunocytochemical evidence for colocalization of immunoglobulin binding factor and prostatic specific antigen in the prostate." Proceeding of 7th Annual Meeting of Jpn.Society for Reprod.Immunol.109-112 (1993)
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[Publications] N.Maeda: "Immunoglobulin binding factor:a new tumor marker for prostatic tumors." Prostate. (in press).
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[Publications] N.Maeda: "Peptide chemistry 1992" Ed.by N.Yanaihara,ESCOM,Leiden, 737 (1993)