1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎児発育の制御に関わる胎児胎盤循環動態および細胞成長因子の意義に関する研究
Project/Area Number |
04671006
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
前田 博敬 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (20199631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月森 清巳 九州大学, 医学部, 助手 (90253450)
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 助手 (00225947)
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
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Keywords | ヒト胎児 / 子宮内発育遅延 / 胎児胎盤循環動態 / 細胞生物学 / 超音波ドプラ法 / 病理形態学 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
子宮内発育遅延の胎児を対象として、微小循環として捉えた胎児胎盤循環動態と個々の胎児が有する細胞増殖制御機構との関連について検討を加えた。対照に同一妊娠週数で正常発育の胎児を用いた。胎児胎盤循環動態の評価には、クロミウム乖離を指標として母体ならびに胎児血清の血管内皮細胞に対する傷害性および超音波ドプラ法で得られる臍動脈RI(resistanceindex)値を指標として胎盤血管抵抗を用いた。胎児が有する細胞増殖制御機構は、個々の胎児の臍帯静脈から血管内皮細胞を分離・培養し、tritiatedチミジンの取り込み能を指標として血管内皮細胞増殖能を評価した。その結果、1)子宮内発育遅延の胎児では胎盤血管抵抗の上昇が存在すること、そのうち、2)母体に妊娠中毒症を合併した症例では母体ならびに胎児血清に血管内皮細胞を傷害する因子が存在すること、3)母体に合併症が認められない症例では臍帯静脈血管内皮細胞の増殖能が低下していることが明らかになった。これらの成績から、子宮内発育遅延の胎児では、1)胎児胎盤循環動態の障害が存在すること、2)本事象の発現には血管内皮細胞の機能障害を介すること、3)母体妊娠中毒症の有無によって、互いに異なる病態が関与することが示唆された。
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