1993 Fiscal Year Annual Research Report
beta1,4‐ガラクトース転移酵素のゴルジ局在のメカニズムと癌化に伴う局在の研究
Project/Area Number |
04671018
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30167788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 康博 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80118918)
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Keywords | ガラクトース転移酵素 / 卵巣癌 / Double‐determinant EIA / 腫瘍マーカー / 蛍光抗体法 / 免疫電顕法 |
Research Abstract |
糖転移酵素の一つであるガラクトース転移酵素(GalT)のうち卵巣癌患者の腹水から精製されたGalTには、電気泳動(native‐PAGE)上、通常の血清中には見られない移動度の遅いバンドが含まれていることが判明している。この分画を癌関連ガラクトース転移酵素(galactosyltransferase associated with tumor,GAT)と呼び、今年度は、GATの卵巣癌診断における臨床的有用性をさらに検討すると共にその細胞内の局在について検索した。すなわち、卵巣癌患者の腹水由来のGalTを免疫原としてマウスモノクローナル抗体(Mab)を作製し、native‐PAGE上で通常のGalTより移動度の遅い分画(GAT)にのみ反応するMab8513と通常のGalTにも同時に反応するMab8628を選別し、前者を固相化抗体、後者を標識抗体とするdouble‐determinant EIAによって健常女性及び卵巣腫瘍患者の血清中のGATを測定し、さらに本酵素の卵巣癌細胞における局在を免疫組織化学的に検索した。その結果、健常女性の血清GAT値のmean+2Sl)をカットオフ値(16U/ml)とすると、卵巣癌における陽性率は52.9%であったのに対し、良性卵巣腫瘍や子宮内膜症ではそれぞれ5.7%、6.7%にとどまり、これまでの既存の腫瘍マーカーに比較して偽陽性率は極めて低値であった。従って、子宮内膜症を含む卵巣良性腫瘍での陽性率が低く癌特異性が高いので、卵巣癌診断における良性・悪性の鑑別に有用であることが示唆された。次に、Mab8628の結合部位を蛍光抗体法によって検索したところ、卵巣癌細胞の核上部が強陽性となった。Post‐embedding及びPre‐embedding methodの両法を用いた免疫電顕によってその陽性部位はGolgi層板のtrans領域に相当することが確認された。さらに、Mab8513を用いた検索ではGolgi近傍の顆粒様構造が癌細胞で多数認められたのに対して、正常腺細胞では微弱であった。これらの結果はMab8513によって認識されるGalTが癌化に伴って著しく増加することを示している。
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