1993 Fiscal Year Annual Research Report
閉経と卵巣摘出による骨粗鬆症の病態差に関する研究-臨床例及び骨芽細胞による解析-
Project/Area Number |
04671019
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 博明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70090008)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 俊之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80222892)
増沢 利秀 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80229369)
牧田 和也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80219302)
隅田 能雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00216475)
|
Keywords | 閉経 / 卵巣摘出 / 骨粗鬆症 / 性ステロイド / ゴナドトロピン / 骨代謝マーカー / 骨密度 / DXA |
Research Abstract |
1.閉経及び卵摘による性ステロイド動態の解析:平成4年度の性ステロイド動態の検討結果(閉経及び卵摘によるestradiol値には有意差を認めなかったが,estroneやandrostenedioneは閉経例が卵摘例よりも有意に高値であった)を踏まえ,LH及びFSHの下垂体性gonadotropinについて検討を行った。その結果,estradiolの低下により,LH及びFSHは閉経及び卵摘いずれも著明な高値であったが、両者間には有意な差異は見出し得なかった。 2.閉経及び卵摘による骨代謝動態の解析:従来の骨代謝マーカーでは両者の差異を見出し得なかったので,本年度は骨代謝動態をより鋭敏に反映するとして最近注目されているいくつかの新たな骨代謝マーカーを用いて検討を行った。HPLC法により尿中骨吸収マーカーであるPyridinolineを求めてCrで補正した値は,対照例に比し,閉経例及び卵摘例はいずれも有意に高値を呈したが、両者間には有意差は認められなかった。また,コムギ胚芽レクチンとの共沈で得られた骨形成をより反映する骨由来III型Alpによる新たな検討では、卵摘例及び閉経例はいずれも対照例よりも有意な高値を呈したが、両者には有意な差異は認められなかった。さらに最近開発されたosteocalcin(OC)のN及びC未満に対する2つの抗体を用いたSandwitch ELISA法とN‐fragment OC ELISA法を併用して,intact‐OCとN‐fragment OCを測定した。その結果,骨形成マーカーのintact‐OCも骨吸収マーカーのN‐fragment OCも閉経例と卵摘例の間に有意な差は見出せなかった。 3.閉経及び卵摘による骨密度の解析:本年度はDXA法により閉経例及び卵摘例のL_<2‐4>BMDを測定したが,両者間には有意な差は認められなかった。以上より,本年度新たに検討を行ったホルモン・骨代謝マーカー・DXAによる骨密度においても閉経と卵摘には差異を認めなかった。
|
Research Products
(9 results)
-
[Publications] 牧田和也: "当教室中高年健康維持外来の開設5ケ月における現況について-骨粗鬆症を中心として-" 日本更年期医学会雑誌. 1. 86-92 (1993)
-
[Publications] 太田博明: "女性ホルモンと骨粗鬆症" カレントテラピー. 11. 46-54 (1993)
-
[Publications] 太田博明: "今月の臨床/ホルモン補充療法:HRT<性ホルモンの作用効果>骨代謝作用" 臨床婦人科産科. 47. 823-829 (1993)
-
[Publications] 太田博明: "特集/中高年婦人を主に診る外来 エストロゲン消退に基づく各種疾患に対する大学病院の特殊外来" 日母医報. 45. 14-15 (1993)
-
[Publications] 太田博明: "骨粗鬆症の早期診断法と治療対象の選別法について-卵巣摘出者の病態像からの解析を中心として-" 日本更年期医学会雑誌. 1. 202-210 (1993)
-
[Publications] 太田博明: "特集/骨粗鬆症<骨粗鬆症のリスクファクター>閉経と骨粗鬆症" 実験治療. 633. 136-139 (1993)
-
[Publications] 太田博明: "<研究速報>本邦婦人におけるホルモン補充療法の臨床的効果とgood responder選別" 産婦人科治療. 68. (1994)
-
[Publications] Hiroaki Ohta: "Determination of the Acceleration of Bone Mineral Loss due to Premenopausal Oophorectomy by Dual Photon Absorptiometry" J Jpn,Menopause Soc.2. (1994)
-
[Publications] 太田博明: "図説産婦人科VIEWシリーズ 婦人科治療編 中高年婦人の管理【.encircled1.】" メジカルビュー社, 200 (1994)