1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671028
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原 晃 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (10156474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武山 実 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60179679)
高橋 邦明 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70197135)
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Keywords | 内耳蝸牛 / フリーラジカル / 金属イオン / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
1.内耳性難聴の病因に深くかかわっていると思われるフリーラジカル、殊に過酸化脂質(phosphstidylcholine及びphosphatidylethanolamine)の蝸牛外リンパ及び血管条に於ける定量を試みた。しかしながら、モルモット肝に於いては定量し得たものの、蝸牛組織では定量し得なかった。サンプル採取の方法をfreezed and dry materialに変える等の改善すべき問題が残された。 2.フリーラジカルの発生・防御に深いかかわりのある金属イオンを定量した。 (1)誘導結合プラズマ原子発光分析法を用いて、蝸牛鼓室階外リンパ中に、鉄・銅・鉛・亜鉛が存在する事を世界的にも初めて報告した。又、測定し得た9種類の陽イオンのうち、亜鉛のみが脳脊髄液中よりも有意に高濃度を示した。 (2)強大音響負荷(2000Hz,115dBSPL,15分間)によって、蝸牛鼓室階外リンパ中のマグネシウム濃度のみ有意に低下した。これは蝸牛外リンパ腔から内リンパ腔へのマグネシウムの移行が想定された。 (3)アノキシア3分間の負荷によっても、蝸牛外リンパ中のいずれの金属イオン濃度にも有意の変化は認められなかったが、アノキシア解除後5分で、鉄のみ急激な濃度上昇を示した。しかしこの鉄濃度上昇は、アノキシア解除後15分にはすでに前値(アノキシア前或いはアノキシア中)に復していた。鉄が過酸化脂質を初めとするフリーラジカルの発生に関与している事を考えると大変興味深い。今後は、何価の鉄イオンが増加したのか、或いは、その鉄上昇の由来等を検討していきたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Akira Hara: "Metallic elcments in the perilymph measured with an inductively-coupled plasma atomic emission spectrometer" Hearing Research. 59. 117-120 (1992)
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[Publications] Jun Kusakari: "The hearing of the patients treated with homodialysis:A long term follow-up study" Aurio-Nasus-Larynx(Tokyo). 19. 105-113 (1992)
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[Publications] Hidetaka Kanno: "The effect of endocochlear potential suppression upon susceptability of acoustie trauma" Acta Oto-laryngologica(Stockholm). 113. 26-30 (1993)
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[Publications] Akira Hara: "Pharmacokinetics of furosemide in endolymph" Auris-Nasus-Larynx(Tokyo). 20. 247-254 (1993)
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[Publications] 待木健司: "蓋膜のプロテオグリカン及びグリコサミノグリカンの生化学的分析" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 96. 98-108 (1993)
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[Publications] 原晃: "蝸牛外リンパの定量的生化学" Otology Japan. 3. 745-753 (1993)