1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671037
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
北嶋 和智 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (10108996)
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Keywords | 声帯粘膜移動性 / 声門下圧 / 音声基本周波数 |
Research Abstract |
良い音声には適切な声帯粘膜の移動性が不可欠である。しかし、その定量的評価はない。 申請者は声帯の粘膜移動性の大きさを単位声門下圧あたりの音声基本周波数の変動の大きさ(dF/dP)で表せるかについて成犬9匹を用いて検討した。 実験方法:声帯の粘膜移動性の変化を声帯の緊張度を変化させることで行った。緊張度の変化は、声帯の伸展度(輪状・甲状軟骨間距離を短縮させること)、及び声帯筋の電気刺激で行った。声門下圧の変動は喉頭吹鳴の最中に送気管の途中に設けたValveを急速に閉じることで行った。 その結果以下のことが判明した。 dF/dPの値は声帯の伸展度で決まる。声帯筋活動はdF/dP値に影響を及ぼさない。伸展度がゼロの時のdF/dPは平均10.7Hz/cmH_2Oである。伸展度が増加するほどdF/dP値は減少を示す。声帯の伸展は、粘膜の移動性を減少させるから、dF/dPの値で粘膜の移動性の変化を追跡できると結論される。ただし、dF/dPの値は個体により差があるので、単一のdF/dPの値でもって粘膜移動性の絶対的評価は出来ない。声帯の伸展度とそれに対応したdF/dPの値の変化を表す関連図において、粘膜移動性の相対的評価が可能と言える。声帯の伸展度は、地声の範囲内においては、ピッチと密接な関連があるから臨床応用の際は声のピッチとdF/dP値の関連を検討すればよい。声帯筋はdF/dP値に関連がないので、声の大きさに注意を払う必要はない。
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