1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671046
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 耳鼻咽喉科, 教授 (10136963)
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Keywords | 進行性鼻壊疽 / リンパ増殖性疾患 / T細胞リンパ腫 / Epstein-Barrウイルス |
Research Abstract |
平成5年度の研究実績は以下の如くである。 1)腫瘍組織中の活性化細胞の画像解析を用いた定量的検索: 本研究では、コンピューターによる画像解析を応用し、進行性鼻壊疽腫瘍組織中の活性化細胞(Ki-67陽性細胞)を定量的に検索し、臨床像、治療に対する反応、予後などとの関連を検討した。Waldeyer輪原発悪性リンパ腫(W-NHL)と比較すると、Ki-67陽性細胞は進行性鼻壊疽(N-NHL)において有意に低値を示した(W-NHL;85.8±13.9,N-NHL;32.7±10.5,P<0.009)。さらにKi-67陽性細胞数と臨床的予後との関係をみると、Ki-67陽性細胞が1000/mm^2以上と未満の症例では前者の方が統計的に有意に予後不良であった(p=0.021)。すなわち活性化細胞の割合が多いほど予後不良であることが判明した。 2)進行性鼻壊疽における免疫遺伝子の再構成の検索:サザーンブロット法による遺伝子再構成の検索により、腫瘍細胞の免疫グロブリンおよびT細胞抗原受容体の遺伝子レベルでの解析を行ったところ、今まで検索した5例全例でT細胞抗原受容体(beta鎖またはgamma鎖)の遺伝子再構成が認められたが、免疫グロブリン遺伝子再構成は認められなかった。従ってT細胞の単クローン性増殖が証明された。 3)進行性鼻壊疽とEpstein-Barrウイルスとの関連の検討:平成4年度までの研究により進行性鼻壊疽の腫瘍組織中にEBウイルスDNAが検出され、本腫瘍とEBウイルスとの関連が強く示唆されたが、腫瘍細胞への単なるEBウイルスの感染の可能性を除外するため、本年度はEBウイルス遺伝子のTerminal Repeatに対するプローブを用いたサザーンブロット法により、EBウイルスのclonalityを検索した。EBウイルスDNAが検出された3例において腫瘍組織中のEBウイルスの単クローン性を示すバンドが認められ、EBウイルスが進行性鼻壊疽の発症と極めて密接に関連していることが強く示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Harabuchi,Y.: "Lethal midline granuloma after lymphomatoid papulosis" Cancer. 70. 835-839 (1992)
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[Publications] Yamanaka,N.: "The prognostic value of Ki-67antigen in non-Hodgkin lymhoma of Waldeyer ring and nasal cavity" Cancer. 70. 2342-2349 (1992)
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[Publications] 山中 昇: "進行性鼻壊疽の免疫遺伝子解析による診断" 日耳鼻. 95. 1950-1958 (1992)