プロスタグランディンの眼圧下降作用と細胞内情報伝達系

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04671075
• Research Institution: HIROSHIMA UNIVERSITY
• Principal Investigator: 三嶋 弘 広島大学, 医学部, 助教授 (20034100)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小坂 敏哉 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (50253084) ; 木内 良明 広島大学, 医学部, 助手 (40214738)
• Keywords: プロスタグランディン / 細胞内情報伝達系 / イノシトール1,4,5-三燐酸(IP_3) / サイクリックAMP(cAMP) / 毛様体上皮 / 血液眼房水柵 / 眼圧

Research Abstract

眼科領域で近年、PGD_2,E_2,F_<2α>の眼圧下降作用が注目され、緑内障治療薬として応用が試みられている。しかし、眼組織でのPGの主たる作用部位はどこなのか、また、PGが血液房水柵(BAB)に何らかの変化を及ぼすかどうか詳細は明らかではない。今回、PGの中でも特に眼圧下降剤としての臨床応用が試みられつつあるPGF_<2α>を中心として、ヒト、動物を利用して眼薬理的、形態学的、および薬効動態的観点からPGによる眼圧下降の機序を検討した。
1.PGF_<2α>類縁物質のPhXA41は、健常人や緑内障や高眼圧症患者の眼圧を、長時間にわたり有意に下降させ、4週間の連続点眼でも、眼圧下降作用の減弱はなかった。レーザーフレアーセルメーターを用いた検討では、ヒトとウサギ眼で、PhXA41の点眼は、BABに何ら影響を与えないと思われた。
2.PhXA41を連続点眼し、ウサギ眼のBABに及ぼす影響をトレーサーを用いて電子顕微鏡で観察しても、毛様体上皮細胞に形態学的に異常はなく、BABも正常であり閉鎖結合は正常に保たれていた。また、血中のトレーサー粒子は前房側に漏れておらず、電子顕微鏡によって形態学的変化が認められなかったことから、PGF_<2α>(PhXA41)の眼房水柵に対する悪影響は全くないと思われた。

Research Products

• [Publications] Hotehema Y: "Clinical efficacy of PhXA34 and PhXA41,two novel prostaglandin F_<2α>-isopropyl ester analogues for glaucoma treatment." Jpn J Ophthalmol. 37. 256-269 (1993)
• [Publications] Hotehema Y: "Ocular hypotensive effect of PhXA41 in patients with ocular hypertension or primary open-angle glaucoma." Jpn J Ophthalmol. 37. 270-274 (1993)
• [Publications] 小坂敏哉: "各種プロスタグランジン長期間点眼後の家兎毛様体の形態学的変化-毛様体突起虹彩部の変化-." 広島大学医学雑誌. 42(印刷中). (1994)
• [Publications] 小坂敏哉: "各種プロスタグランディン長期間点眼後の前房蛋白濃度と家兎毛様体の形態学的変化." 日本眼科学会雑誌. 98(印刷中). (1994)