1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671079
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
直井 信久 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (50211412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高梨 泰至 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10226798)
松浦 義史 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (50173795)
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Keywords | ERG / EOG / 綱膜色素上皮 / 明上昇 / アデノシン / Na^+ / H^+交換系 / BCECF / 細胞内pH |
Research Abstract |
本年度の研究は大きく2つに分けられる。一つはin-vitroニワトリ綱膜一色素上皮一脈絡膜標本を用いた実験である。 本年度はいままでに研究してきたアデノシンの綱膜一色素上皮に対する作用を微小電極による綱膜色素上皮細胞内電位記録を用いて解明した。アデノシンを潅流液に加えると暗順応下の常在電位は5分後より増加し25分後にピークとなった。これは色素上皮細胞内記録により基低膜脱分極に起因することが判明した。ERGC波は常在電位の増加と共に増大した。この時綱膜下腔においたカリウム選択性電極で記録した光誘発による綱膜下腔カリウム減少は約10%少さくなっていた。このためERGC波増大は基低膜低抗減少によるものと推論した。アデノシンは綱膜が虚血におちいった時に増加することが知られているが、今回の実験から綱膜がアデノシンを放出すると色素上皮に異常がなくとも基底膜低抗の減少を通じて色素上皮関係電位であるERGC波、EOG明上昇が変化を受けるという興味ある知見が得られた。 もう一つの実験は、pH感受性蛍光色素であるBCECFを用いた培養色素上皮細胞の細胞内pH測定実験である。本年度は色素上皮に酸負荷を行いそこからの細胞内pHの回復過程を調べた。これには色素上皮を先端膜、基低膜をそろえてシート状に培養することが必要となるが、われわれはこれに成功した。先端膜側あるいは基低膜側の潅流液のNa^+濃度低下あるいはアミロライド負荷によっていずれの場合も酸負荷からの細胞内pHの回復が遅延することが判明した。これは色素上皮細胞の先端膜、基底膜いずれにもNa^+/H^+交換系が存在し、細胞代謝で生じたプロトンを両側に排出していることを示している。これは今までの研究でみられなかった新知見である。
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[Publications] Nao-i,N.,Hashiguchi K.,Matsuura,Y.& Sawada,A.: "Elevation of intraocular pressure after pars plana vitrectomy." In Current Aspects in Ophthalmology. 1078-1082 (1992)
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[Publications] Kim,S-D.,Maruiwa,F.,Nao-i,N. and Sawada,A.: "Focal ERG changes during experimental retinal defachment and spontaneous reattuchment in rabbit." In Current Aspects in Ophthalomlogy. 1138-1143 (1992)
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[Publications] 丸岩 太,金時 東,直井 信久,澤田 惇: "塩酸メトクロプラミド(ドーパミン受容体阻害剤)のEOG L/D比への影響" 日本眼科学会雑誌. 96. 375-380 (1992)
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[Publications] 丸岩 太,直井 信久,澤田 惇: "硝子体手術における眼内潅流液の術中ERGへの影響" 日本眼科学会雑誌. 97. (1993)