1992 Fiscal Year Annual Research Report
視神経傷害後網膜に発現する再生促進因子と抑制因子に関する研究
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04671082
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
若倉 雅登 北里大学, 医学部, 助教授 (50137931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 いづみ 北里大学, 医学部, 助手
山本 昇 北里大学, 看護学部, 教授 (10050543)
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Keywords | 網膜 / 視神経 / ミューラ細胞 / アミノアジピン酸 / グルタミン酸リセプター / 視神経傷害 / 網膜ニューロン / 網膜細胞培養 |
Research Abstract |
網膜ニューロン培養に関する、培養の能率性について若干の成績が得られた、生直後ラット網膜からの培養では、培養数時間から十数時間で神経細胞は接着しはじめ、一部神経突起も出現したが、生後6日以降のものでは24時間後でも接着するものは少ない。しかし2-4日するとあまり差がなくなる傾向にあった。なお培養早期はNCAMの発現がみられた。このように出現ニューロンの定量にはラットの齢のみならず、培養後の時間も変数として扱わねばならぬことが明らかになった、一方幼若ラットの視神経切断を血管障害なしに行うことは困難で、またそれを証明することもむつかしく、この点ではこの方面の研究の進行に障害が生じている。 網膜ニューロンの培養にミューラ細胞との混合培養を用いると非常に有利であることが既に我々の研究で明らかになっているが、このミューラ細胞がアミノアジピン酸、カイニン酸、AMPAに暴露されると、グリア細胞であるにも拘らず細胞内カルシウム濃度上昇がみられることが明らかとなった。アミノアジピン酸については光学的異性体(D,L-,D-,L-体)によって異なり、D,L-体,D-体は低濃度ではニューロンに作用し、高濃度ミューラ細胞に作用する傾向が強く、L-体はミューラ細胞への作用が明確であった。この内容はDocumenta Ophthalmologicaに発表された。AMPA-Kaunateに対するミューラ細胞の応答は、NMDAではみられず、ミューラ細胞にAMPA-KA型グルタミン酸変容体が存在することを示唆し、ミューラ細胞が網膜ニューロン活動に積極的に参加いている可能性が高いことが明らかとなった。視神経障害時の網膜についてはニューロンのみならずミューラ細胞、色素上皮細胞の挙動をもみてゆく必要があり、その観点から色素上皮細胞の熱ショックに関する論文を発表し、又視神経傷害後の網膜を題材とした綜説を執筆した。
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[Publications] 若倉雅登 ほか: "視神経傷害後の網膜-再生と移植の観点より-" 神経眼科. 9. 271-279 (1992)
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[Publications] Masato WAKAKRA Noboru YAMAMOTO: "Rapid increase of intracellular Ca^<2+> concentration caused by aminoadipic acid enantioners in retinal Miiller cells and neurons in vitro" Documenta Ophthalmologica. 80. 385-395 (1992)
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[Publications] Masato WAKAKURA Wallace S Foulds: "Heat shock response and thermal resistance in cultured human retinal pigmont epithelium" Experimental Zye Research. 56. 17-24 (1993)