1993 Fiscal Year Annual Research Report
セメント質に関するレクチン組織化学的免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
04671091
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加賀山 学 東北大学, 歯学部, 教授 (60004610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 泰之 東北大学, 歯学部, 助手 (30196191)
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Keywords | ラット臼歯 / セメント質 / レクチン組織化学 / 免疫組織化学 / コンドロイチン硫酸 / 石灰化 / 歯の移動 / 加令変化 |
Research Abstract |
セメント質は歯根象牙質表面に附着する硬組織で、歯槽骨からのびる歯根膜線維を受け入れて歯を支持している。セメント質は組織学的に歯根上部に分布する無細胞セメント質と歯根下部に分布する有細胞セメント質からなる。このようなセメント質に関する知見は、他の硬組織すなわち骨、象牙質、エナメル質に比べて極めて乏しい。その主たる原因はセメント質の分離が困難であるため生化学的分析の対称になりにくい事、また組織学的にもセメント質の発生が歯の萌出以後におこるため長期間の脱灰操作が不可欠なためと考えられる。しかし近年、低アルカリフォスファターゼ血症における歯の早期脱落が、機能的な歯の維持にセメント質の存在が極めて重要である事を示唆しており、セメント質の特性解明が望まれている。このような背景のもとにこの研究では歯セメント質における細胞外基質をレクチン組織化学的に、また免疫組織化学的に検索することとした。 実験動物には生後10〜30週令のウィスター系雄性ラットを用い、4%パラフォルムアルデヒド固定、EDTA脱灰の標本を作製して各種のレクチンおよび抗体を用いて検索した。その結果、成熟ラット臼歯歯根において各種レクチンに強い陽性反応を呈する特異な有細胞セメント質は石灰化していない事、さらにこの非石灰化セメント質は歯根の遠心側に限局してラットにおける歯の生理的移動と関連がある事が明らかにされた(投稿中)。またこのセメント質は免疫組織化学的にコンドロイチン硫酸に富む組織である事が判明したので、抗体をマーカーに加令にともなう変化を検索したところ、非石灰化セメント質は生後20〜30週令で次第に消失する事が明らかにされた。この事実は、従来考えられていたセメント質形成とは異なる経過を示すものであり、若い個体における歯の移動に対応した現象と考えられた。
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