1992 Fiscal Year Annual Research Report
石灰化障害モデルを用いた基質小胞形成に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
04671096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 俊雄 大阪大学, 歯学部, 教授 (60034162)
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Keywords | 基質小胞 / 免疫組織化学 / HEBP / 細胞骨格 / 細胞外マトリックス / 細胞膜受容体 |
Research Abstract |
l-hydoxyethylidene-l,l-bisphosphonate(HEBP)投与ラット上顎切歯における石灰化障害モデルにおいて基質小胞形成に障害が見られた事から、基質小胞形成に関与すると考えられる細胞骨格(アクチン、ミオシン)、細胞外マトリックス(フィブロネクチン、テネイシン)とその受容体(インテグリン)の変動を免疫組織化学的に検索した。 凍結切片の酵素抗体間接法による光顕観察で、対照群の上顎切歯の象牙芽細胞とエナメル芽細胞は、アクチンとミオシンに陽性反応を示した。根尖側の分化初期の両細胞は細胞全体に陽性反応を示し、切端側の分化した両極性細胞はapical側に陽性反応を示した。特に象牙芽細胞では、young odontoblastの遠心端(distal terminalweb)付近に強い反応が認められた。フィブロネクチンは根尖端からpre-odontoblastにかけての象牙前質に認められた。テネイシンやインテグリンは象牙前質、エナメル芽細胞、象牙芽細胞に認められなかった。HEBP投与群でも上記因子の分布に変化は認められなかった。 基質小胞形成に関連する部位に陽性反応を示したフィブロネクチン、アクチン、ミオシンについては免疫電顕を行った。水溶性樹脂包埋-金コロイド法(post-embedding法)によるとフィブロネクチンは不定形物質として象牙芽細胞の表面やコラーゲン線維の間に存在し、細胞間質においては線維状構造物として認められたが、基質小胞との関連性は明かではなかった。アクチンとミオシンは水溶性樹脂包埋では反応が見られず、電顕酵素抗体法(pre-embeddind法)を行った。アクチンとミオシンは象牙芽細胞のdistal terminal webに反応産物の沈着として認められたが、基質小胞や突起への分布は電顕酵素抗体法では判定不能であると考えられた。HEBP投与群でも上記因子の分布に変化は認められなかった。 以上の結果、基質小胞形成に上記の細胞外マトリックスとその受容体は関与しないと考えられる。細胞骨格については、微小なレベルでの分布もしくは変化を観察できなかったが、今後電顕レベルで明確に細胞骨格蛋白を観察できるよう改善する予定である。
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