1992 Fiscal Year Annual Research Report
骨組織吸収過程におけるコラーゲン消化・吸収機構の解明
Project/Area Number |
04671104
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
矢嶋 俊彦 東日本学園大学, 歯学部, 教授 (10018749)
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Keywords | 骨吸収 / 破骨細胞 / 骨芽細胞・前骨芽細胞 / ストローマ細胞 / コラーゲン貧食 / 酸性ホスファターゼ / カテプシンD |
Research Abstract |
骨組織では、その種類や部位を問わず、常に改造現象が生じており、これは骨組織を構成する細胞である骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞とそれらの前駆細胞の細胞連鎖機構によることが知られている。破骨細胞による無機質溶解機構はほぼ解明されている。しかし、有機質の主構成成分であるコラーゲンの消化・吸収機構には不明な点が多い。そこで、骨吸収時のコラーゲンの消化・分解過程において、いかなる細胞が、どのような酵素を生成し、作用しているかを生体組織と培養実験系を併用して組織細胞学・組織細胞化学的に検索した。材料には、ウィスター系ラットの生後1週から9週の頭蓋冠の組織培養片と、生後3週から2年の灌流固定した頭蓋冠と上下顎骨を用いた。その微細構造、ACPase活性とカテプシンDの局在を電顕で比較観察した。骨吸収窩には多核で波状緑の発達した破骨細胞が観察され、波状緑の微絨毛間にはコラーゲン細線維が多数認められた。これらの線維の他端は石灰化した骨質に連続しているものもあった。しかし、細胞外でのコラーゲン細線維の形態学的な消化・分解像は観察されなかった。また、細胞質中には多数の水解小体・貧食小体が存在し、ACPase活性を示したが、コラーゲン貧食小体は認められなかった。部位によっては、破骨細胞に隣接する前骨芽細胞・線維芽細胞様細胞(ストローマ細胞)は長い細胞突起を骨基質に延ばしており、それらの突起内および細胞体にコラーゲン貧食小体が観察された。これらのコラーゲン貧食小体にはACPase活性とカテプシンDの局在が認められた。現在、組織培養系にコラゲナーゼ・インヒビターカテプシンD・インヒビター等を添加し、コラーゲン消化・吸収への影響とコラーゲン貧食細胞について組織細胞学・組織細胞化学・および免疫酵素化学的に検索している。
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