1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671109
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小宮山 一雄 日本大学, 歯学部, 助教授 (00120452)
|
Keywords | HBV / HCV / PCR / RT-PCR / Saliva |
Research Abstract |
肝炎ウイルスによる散発性肝炎の発症はエイズや成人T細胞性白血病などとともに社会問題となっており、観血的治療の多い歯科診療の場でもこの感染経路を解明することは肝炎発症の予防に重大な意義がある。われわれは本研究においてウイルス遺伝子を直接的に検出する高感度のPCR法を用い、血清および唾液中にB型、C型のウイルスが出現することを報告してきた。 B型肝炎ウイルスの血清中への出現率は急性肝炎患者の75%、慢性活動性肝炎患者42%、慢性非活動性肝炎40%、肝硬変患者21%、肝癌0%、healthy carrier75%で、唾液は慢性非活動性肝炎患者で32%であった。急性肝炎患者以外ではHBs抗体が証明された症例にもウイルスDNAが検出され、感染が長期に渡って持続することが示された。またリンパ球画分からもウイルスが検出され、ウイルスの標的細胞が肝細胞のみでない可能性が示唆され、今後さらに検討が必要と考えられた。 C型ウイルスはnon-cording regionをRT-PCRにより増幅しウイルスRNAの検出を行った。C型の唾液中への出現率は慢性肝炎35%、肝硬変73%、肝癌35%であった。これら肝炎ウイルスの出現率と唾液中の潜血反応陽性率とは高い相関がみられた。同時におこなった同一患者の胃液からも高率に検出された。デンシトメーターでウイルス量を検討したところ、ウイルス量は血清、胃液、唾液の順に多く検出された。C型のサブタイプは2型が大半であった。 以上の結果から唾液中へのウイルス出現経路を検討するため、耳下腺唾液と歯肉溝液での検出を計画したが患者の協力得ることがむずかしく、今後症例数を増やして検索する必要があると考えた。また唾液を用いた簡便な検査法の開発を検討している。
|