1994 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺主導管上皮の機能的、形態的解析.IV.tuft cellの免疫および組織化学的研究
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04671115
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
佐藤 敦子 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (20099047)
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Keywords | 毛束細胞 / 主導管 / 顎下腺 / 複合糖質組織化学 / レクチン / ルテニユ-ム レッド / 生後発達 / 雄ラット |
Research Abstract |
ラット唾液腺主導管上皮に存在するtuft cell は中腔性器官である鼻腔、気管、肺胞の呼吸器系や胃腸域、胆嚢、胆管等の消化管系にも存在している。頂部に指状の長い微絨毛を有し、頂部細胞質には微小管や細線維が走り、その間に大小さまざまの小胞が存在している。これらの特徴は基本的にはどの器官のtuft cellに見られ、形態的特徴ははっきりしているけれど、その機能に関しては全く分かっていない。そこでtuft cellの機能を明らかにするために補助金の交付期間に次の実験を行ったので報告する。 1.小胞内には線維状の物質が存在しているので、その内容物が何であるか調べる為に過ヨウ素酸(PA)-チオカルボヒドラジド(TCH)-蛋白質(SP)-物理現像法(PD)を用い、複合糖質の検出を行った。反応のあった部位は小胞の内容物、その限界膜、微絨毛の形質膜。ゴルジ要素に認められた。 2.1.をさらに詳しく調べるためにCon-A,PNA,SBA,UEA-1,DBAを用いたレクチン組織化学による染色を行うと小胞はCon-Aにより染色された。 3.細胞膜のsugar coatを染めるルテニウムレッドで染色してみると、管腔面の小窩が染まった。これは小胞の開口分泌像を示しているものと思われる。 4.tuft cellの生後発達を調べた。成獣で全体の細胞の7%がtuft cellであるが、0日目ですでに6%存在していた。1日目になると発現頻度は7%となり成獣と変わらなくなった。21日目に2.5%と減少するがまた28日目には7%と回復した。21日目は離乳期に当たり、主導管は急に大きくなる為、tuft cell以外の細胞が増え表面的に数が減少するものと思われる。形態的には28日目頃成獣のものと変わらなくなった。 結論 唾液腺主導管上皮に存在するtuft cellは複合糖質を含有する小胞が多数存在し、その一部は開口分泌されるものと思われる。また非常に長い微絨毛を管腔に突き出していることは刺激受容器である印象を与える。複合糖質の分泌も刺激受容に関係あるのかもしれない。
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[Publications] 佐藤敦子、三好作一郎: "唾液腺主導管上皮の超微形態学" 電子顕微鏡. 28. 122-127 (1993)
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[Publications] Sato,A.: "Fine structure of The tuft cells inthe main excretory duct of the rat submandibular gland." Cell Tissue Res. (in press). (1995)