1992 Fiscal Year Annual Research Report
Candida albicansの二形性発現におけるsignal因子の研究
Project/Area Number |
04671116
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
長 環 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (90131870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 健治 福岡大学, 薬学部, 教授 (40078689)
浜高家 尚子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50198800)
萩原 義郷 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00088931)
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Keywords | 二形性真菌 / 形態分化因子 / 生物活性ペプチド |
Research Abstract |
1.目的 エイズ、ガン、糖尿病等人体の免疫機能に障害を及ぼす病気が多い昨今、これらの病気は日和見感染的な真菌症を引き起こしやすい。中でもエイズ患者の口腔カンジダ症に代表されるCandida albicansは、口腔内および全身性の重大疾患を起こす。我々はC.albicansの病原性と深い関係のある本菌の形態変換機構について、分子生物学的手法による解明を目的とし、今年度は特に形態変換の引き金として働くsignal因子(ペプチド様物質)の単離を試みた。 2.結果 (1)signal因子を持つ菌体の大量培養:酵母形、菌糸形の違い、対数期、静止期の違い、飢餓処理の有無に因る違いを知るために、各々の状態の菌を大量培養する事ができた。(2)signal因子の抽出:各菌体から、寒川らのペプチド抽出法(1983)に基づいて酸加熱抽出をおこなった。イオン交換クロマトグラフィーにより、強酸性ペプチド画分(SP- I)、弱酸、中性、弱塩基性ペプチド画分(SP-II)、強塩基性ペプチド画分(SP-III)を得た後、各画分のゲル濾過を行なった。その結果、280nm吸収を示す2ピークがSP-I,III各々において得られ、いずれも第1ピークは、void付近に、第2ピークは、相対的分子量1000〜1500の画分に存在した。(3)signal因子の検定:菌体内の形態発現準備状態を表わす事ができる培地(亜鉛培地)に、(2)で得られたピーク画分を加えた液体中で形態発現準備がまったくなされていないと考えられる菌体(飢餓処理菌)を培養した時の形態発現を観察した。その結果、検討した全ての菌体由来SP-IIの第2ピーク画分に、菌糸発現を誘導する物質が含まれていることがわかった。以上の結果により、菌糸発現誘導物質の分離に成功し、さらに、菌体内に常に存在する事およびその発現には、別の因子が関与していることが示唆された。
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