1992 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経切断に伴うグリア細胞内プロテアーゼの機能と病態
Project/Area Number |
04671125
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 博 九州大学, 歯学部, 助手 (20155774)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 健二 九州大学, 歯学部, 教授 (40091326)
|
Keywords | 三叉神経節神経細胞 / 老化 / リソソーム系蛋白分解機構 / カテプシン群 / 酵素活性 / 免疫組織 / 免疫電顕 / ラット |
Research Abstract |
当初は三叉神経の障害モデルとして神経切断を用い、切断に伴う軸索におけるカテプシン群の動態を酵素活性ならびに局在性の変化として捉える計画であったが、次のような問題点が生じた。1.カテプシン群の酵素活性をそれぞれの酵素に対する特異的な蛍光基質を用いて測定した結果、軸索では両側をサンプルとしてもタンパク量が少なすぎて測定は非常に困難であった。2.カテプシン群の特異的な抗体を用いて免疫染色を行った結果軸索は非常に弱い免疫反応性しか示さなかった。このように当初計画における研究方法では軸索におけるカテプシン群の動態を的確に捉えるのは困難であることがわかった。しかし、三叉神経節におけるカテプシン群の動態を検討することは可能であり、三叉神経節神経細胞の機能低下ならびに変性脱落が生じることが知られている老齢動物を障害モデルとすることに変更した。老齢動物(Fisher344系雄性ラット)を用いた研究より次のような新しい知見が得られた。1.三叉神経節神経細胞の密度は27ケ月齢では2ケ月齢の約80%にまで減少していた。2.リソソーム系プロテアーゼであるカテプシンBならびにLの三叉神経節における酵素活性は27ケ月齢では2ケ月齢に比較して有意に減少していた。一方、カテプシンDの酵素活性には有意な変化は認められなかった。3.免疫組織学的検討により27ケ月齢ではカテプシンB、D,Lは三叉神経節神経細胞の局所に扁在することが認められた。4.免疫電顕法により、27ケ月齢の三叉神経節神経細胞ではミトコンドリアを貧食した二次リソソームが著明に増加していることがわかった。さらにこの二次リソソーム内にカテプシンBの強い免疫反応物が局在するのが認められた。以上のようにラットの三叉神経節では老化によりカテプシン群の酵素活性ならびに局在が著明に変化し、自己貧食が亢進していることが認められた。このようなリソソーム系蛋白分解機構の異常が老化に伴う三叉神経節神経細胞の機能低下あるいは変性脱落過程に関与していることが強く示唆された。
|
Research Products
(1 results)