1993 Fiscal Year Annual Research Report
耳下腺アミラーゼ分泌におけるAキナーゼ・サブユニットの役割
Project/Area Number |
04671128
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
田隈 泰信 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40095336)
|
Keywords | Aキナーゼ / サイクリックAMP / 耳下腺細胞 / ストレプトリジン-O / アミラーゼ分泌 |
Research Abstract |
私はこれまで低濃度のサポニンで処理した耳下腺細胞にcAMP誘導体など低分子物質を導入しアミラーゼ分泌機構を調べてきたが、この実験系はAキナーゼのような高分子物質の導入には適していない。開口分泌におけるAキナーゼ・サブユニットの役割を解明するためには、分泌顆粒膜を傷害せず、細胞膜にサポニンより大きな穴をあけることが知られているストレプトリジン-O(SLO)を用いた分泌系の確立がまず必要である。欧米ではウエルカム社製のSLOが広く用いられているが、日本国内では入手経路がなく、また、シグマ社製のSLOには調べた限り耳下腺細胞膜に穿孔する兆候は認められなかった。最近発売されたGIBCO社製のSLOは期待通りの効果を示した。 ところで、コラゲナーゼ消化によって得られる耳下腺腺房部細胞塊は、短い介在部によって結び付けられた複数の腺房の集塊である。そのため、SLOによるLDHの漏出は最高でも30〜40%であった。そこで、コラゲナーゼ消化の前に短時間トリプシン処理を行なうことで分泌能を保持した単一腺房を調製した。この腺房をSLO処理したところ最高70-80%のLDHが漏出した。現在、cAMPによる確実な分泌誘導とAキナーゼの得意的阻害剤であるPKI(5-24)ペプチドによる分泌阻害が確認されている。SLOで処理した単一腺房からのcAMPによる分泌動態は、これまでに報告のある膵外分泌細胞の結果ときわめてよく似ていた。しかし、この系にシグマ社製の牛心臓Aキナーゼ触媒サブユニット(タイプII)を導入したところ、蛋白質リン酸化の亢進は認められたが、添加されている安定化剤のため非特異的なアミラーゼ遊離が生じ、残念ながらAキナーゼによる有意な分泌誘導は認められなかった。Aキナーゼによるアミラーゼ分泌には、より純度の高い触媒サブユニットが必要と思われる。
|
-
[Publications] Taishin Takuma: "Protein phosphatase inhibitor calyculin A induces hyperphosphorylation of cytokeratins and inhibits amylase exocytosis in the rat parotid acini." FEBS Letters. 323. 145-150 (1993)
-
[Publications] Taishin Takuma: "Evidence for the involvement of protein phosphorylation in cyclic AMP-mediated amylase exocytosis from parotid acinar cells." FEBS Letters. (印刷中). (1994)