1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671133
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤井 彰 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (70102564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩嗣 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (00102591)
秋元 芳明 日本大学, 松戸歯学部, 専任講師 (10147720)
松本 裕子 日本大学, 松戸歯学部, 副手 (50221594)
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Keywords | カルシウム拮抗剤 / 歯肉肥厚 / 線維芽細胞 / DNA合成能 / コラーゲン合成能 / カルシウム取り込み / 細胞内カルシウム濃度 / 組織培養 |
Research Abstract |
ニフェジピン、ジルチアゼム、ニカルジピン、およびベラパミルなどのカルシウム拮抗剤により、副作用として歯肉肥厚が認められたという報告が臨床的に多く報告されつつあるが、その作用機作については明らかにされていない。本研究では、歯肉肥厚の発現頻度の最も高いニフェジピンによって歯肉肥厚を起こした患者、及び肥厚を起こさなかった患者歯肉よりExplantにより得られた培養線維芽細胞(以下それぞれNIFr、NIFnと略)の5〜8代継代細胞を用い実験を行い、以下の結果を得た。 1.得られた線維芽細胞(NIFr、6試料;NIFn、5試料)は、増殖においてすべてフェニトイン感受性であった。また、カルシウム拮抗剤の存在下において、NIFrはNIFnより高い増殖能を示した。 2.カルシウム拮抗剤の存在下における、線維芽細胞のDNAの合成能を^3H-チミジンの取り込みを指標にして検討した。ニフェジピンを作用させた場合には31.8%、ジルチアゼム31.4%、ベラパミル28.4%、ニカルジピン26.7%、フェニトイン43.7%、とそれぞれのカルシウム拮抗剤の存在下において、NIFrの方がNIFnより高いDNA合成能が認められた。^3H-プロリンの取り込みを指標としたコラーゲン合成能においても同様な傾向が認められた。 3.線維芽細胞中にFura2/AMを常法により取り込ませ、外液中にカルシウムが存在する場合と存在しない場合において、ニフェジピンを作用させた後細胞内カルシウムの動態をCAF-100(日本分光)を用いて検討した。外液中にカルシウムが存在する場合には変化が見られなかったが、存在しない場合にはspontaneousなカルシウムの取り込みにおいてNIFrでニフェジピンの用量が高くなると低下したが、NIFnでは細胞によってはニフェジピンの用量が高くなると増加する傾向が認められるものが見られた。 以上が今年度中に明らかになった実験結果であるが、次年度は線維芽細胞(NIFrおよびNIFn)に対するEGF、PDGF、FGF、IL-1の作用に対するカルシウム拮抗剤の影響を検討するとともに、ブラジキニン、トロンビン、血小板活性化因子などの線維芽細胞に対する作用も併せて検討する予定である。
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