1992 Fiscal Year Annual Research Report
う蝕用ペプチドワクチンの開発:万人に有効なペプチド抗原は存在するか?
Project/Area Number |
04671150
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
西沢 俊樹 国立予防衛生研究所, 口腔科学部, 主任研究室 (00072942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 奨 国立予防衛生研究所, 口腔科学部, 主任研究官 (80072958)
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Keywords | う蝕予防 / ペプチドワクチン / MHC拘束性 / PAc / 抗原エピトープ |
Research Abstract |
本研究の最終目標はう蝕用ペプチドワクチンを開発することであり、その一環としての本研究課題の目的は、抗原ペプチドにヒトの主要組織適合抗原(MHC)の遺伝子型による拘束性が存在するか否か、もし存在するならば共通性の高い抗原ペプチドはどれか、その解答を得ることであった。 そこでう蝕用コンポネートワクチンの抗原として最近特に注目を集めているStreptococcus mutansの菌体表層蛋白質抗原(PAc,分子量19万)に着目し、エピトープ・スキャンニング・キットによりこの分子のアミノ酸配列のN末からC末までをカバーする153種類のデカペプチドを合成した。また、特に抗原性が強い領域(アミノ酸番号196-484)については、この領域全体をカバーするオーバーラッピング・ペプチド(重複アミノ酸残基数4、アミノ酸全残基数19)19種類を合成し、これらのペプチドとヒト血清中に含まれるPAcに対する自然抗体の反応性をELISA法により調べた。 その結果、非常に多数(50以上)のペプチドが抗体と反応することが判明し、PAc分子上に多数の抗原エピトープの存在が示唆された。また、それらペプチドのアミノ酸配列の比較から、強い抗原エピトープとして約10種特定され、さらに、10数人の結果ではあるが、抗原エピトープにおけるMHC・DR遺伝子の拘束性の存在も示唆された。現在、残り80名の血清につき解析中であるが、比較的共通性の高い(拘束性の低い)ペプチドとして、AALTAENTAIK、NAXAKA、YQAXL、等がクローズアップされてきた。 最後に、消耗品費の大幅な赤字を謝金の残で補充している理由が、合成依頼予定のペプチドをマルチペプチド合成機利用により、自分で合成できるようになったためであることを附記する。
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